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「とても敏感な人」を意味するハイリー・センシティブ・パーソン(HSP)と呼ばれる気質で悩み、生きづらさを感じている人がいる。水戸市に住むブロガーの長池涼太さん(32)は、自身をHSPと自認し、これまでの苦労や経験をブログで発信。「HSPは欠点ではない」と訴えている。【韮澤琴音】
「幼少期からずっと違和感があった」。長池さんは小学生のころから、自分にとっては深刻と感じることが友人に伝わらないもどかしさを感じてきたが、原因を深く考えることはなかった。
職を転々、苦悩の日々
しかし、就職してから心身に不調が出始めた。2011年、派遣社員として建設会社の事務職に就いた。上司から「覚えが悪い」「同じことを聞かないで」と何度も言われた。電話や来客対応、社員の経費精算などを同時にこなせなかった。
メモをとって複数の仕事をこなせるよう努力したが、業務をせかされ、「電話は新人がとるべきだ」という社内の雰囲気をプレッシャーに感じた。努力しても、複数の仕事を同時にこなせずパニック状態になったこともあった。入社からひと月たつと、慢性的に下痢や便秘になる「過敏性腸症候群」と診断され、医師には「仕事のストレスが原因」と言われた。
派遣会社の同僚に仕事がうまくいかないことを相談すると「気にしすぎ」と言われ、つらさを分かってもらえないことがショックだった。再診で病気の悪化を告げられ、精神科の受診も勧められた。「このままでは体も心も壊れる」と思い、入社から2カ月で退職を決めた。
転職先は学習塾。講師として再スタートしたが、上司が同僚を「あいつの授業は駄目だ」と評価すると、なぜか自分も怒られている気分になった。塾の教室は、教室同士がガラスで仕切られているため、隣の部屋で授業している上司の姿が見え、「監視されている」と感じた。生徒が問題を解く時間は「上司に何か思われていたらどうしよう」という気持ちで頭がいっぱいになった。
塾講師の仕事は約4年間続けられたが、長時間労働や過敏性腸症候群が再発したことが原因で16年に退職した。この後は県内の農業法人に転職したが、作業の遅さやミスを指摘され、3週間で退職してしまった。
光明見つける
その後、日雇いやアルバイトで食いつないでいた18年9月、ツイッターを眺めていると、「HSP」という言葉が目に入った。「HSPはマルチタスク(同時作…
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