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#最後の1年

「真紀さん」と挑むスピードスケート名門復活 駒大苫小牧主将

フィットネスバイクで心肺機能を高める清水彩花(左)と田畑真紀監督。静寂の中で緊迫した時間が流れる=北海道苫小牧市の駒大苫小牧高で2020年9月9日午後3時37分、岩壁峻撮影

 静寂の中で荒々しい息遣いが漏れていた。

 9月初旬、駒大苫小牧高(北海道苫小牧市)スピードスケート部の室内練習場。この時期にしては珍しく気温が25度以上に上がる中、主将の3年、清水彩花(17)はフィットネスバイクを懸命にこいでいた。来年1月の冬季高校総体で女子500メートル制覇を目指す有望株だ。

 その隣で、田畑真紀監督(45)も競うようにペダルをこぐ。同校の卒業生で冬季五輪にこれまで5回出場し、2010年バンクーバー五輪では女子団体追い抜きで銀メダルを獲得した。現在は同校で事務職員として働きながら部を指導し、自身も現役を続ける異色のアスリートだ。

 バイクを20秒こいで10秒休む。4分間で8セット繰り返すトレーニングを終えると、2人はバイクを降りて床に倒れ込んだ。室内は部員と監督の立場を超えた、真剣勝負の空気に包まれていた。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、夏季高校総体や夏の全国高校野球選手権大会などが相次いで中止になった。秋からシーズンが本格化する冬季競技は今のところ、推移を見守りながら大会開催に向かっている。部は10月10日から始まった北海道帯広市での競技会を今季初戦に位置づける。

 室内練習場近くのグラウンドでは、04、05年に夏の甲子園を連覇した野球部が新チームを発足させて練習していた。「最後の大会を思うような形で迎えられなかった同級生もいる。その分まで頑張りたい」。かみしめるように、清水は言葉を紡いだ。

 3年生部員は清水のほか、女子の中長距離種目を専門とする尾谷琴音(ことね、17歳)と大野珠梨(しゅり、18歳)の合わせて3人。18年4月に監督に就任した田畑氏と同時に入学してきた部員たちだ。3人は田畑氏を「真紀さん」と呼ぶ。田畑氏からの希望でもあったが、特に田畑氏と同じ苫小牧市の東側のむかわ町出身の清水は幼いころから「真紀ちゃん」と慕ってきた。

 清水は2学年上の姉悠希さん(19)の影響で3歳のころから氷に乗り始めた。小学1年で、田畑氏もかつて在籍した地元の少年団に入って本格的に競技を始めた。「長距離だと体力が持たなくて……」と、当初から短距離が得意だった。才能は磨かれ、地区内の競技会では小学2、3年の部でそれぞれマークした女子500メートルのタイムが、現在も大会記録として残る。

 清水には忘れられない記憶がある。田畑氏は毎年正月に…

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岩壁峻

毎日新聞東京本社運動部。1986年、神奈川県生まれ。2009年入社。宇都宮支局、東京運動部、北陸総局(石川県)を経て、2019年10月から東京運動部。現在は主にパラスポーツを担当。2016年リオデジャネイロ・パラリンピックは現地取材した。中学~高校(2年まで)はバレーボール部。身長が低かったため、中学の顧問には「スパイクは打つな」と言われて育つ。

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