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新型コロナウイルス感染症対策は菅義偉政権の最優先課題だ。首相は「社会経済活動との両立を目指す」と強調している。
大事なのはバランスをいかに取るかだ。だが、菅首相は経済活動の活発化に前のめりな姿勢を示している。かじ取りに懸念が残る。
主導してきた観光需要喚起策「Go Toトラベル」は、10月から東京都が対象に加わり規模が拡大される。人の移動は感染のリスクを伴う。感染が再拡大した場合は、専門家による分科会の意見に耳を傾け、ブレーキを踏む必要がある。
国と地方は緊密に連携することが欠かせない。地域の感染状況に応じた休業や外出自粛の要請は、各知事の判断で行っているからだ。国が社会経済活動を推進し、知事が自粛を要請するようでは、国民の混乱を招いてしまう。
特別措置法については、改正の必要性が自民党総裁選でも議論になった。だが、菅首相は、改正は感染が収束した後との姿勢を変えていない。
地方は、休業要請に伴う国の補償的な措置の制度化や、要請に従わない場合の罰則を求めている。課題を洗い出して、法改正の必要性を速やかに検討すべきだ。
冬にかけては季節性インフルエンザとの同時流行が懸念される。かかりつけ医には、患者の診察に不安もあるようだ。スタッフの感染を防ぎながら、地域で検査を担う体制作りが欠かせない。
医療体制を確保する必要性は当初から指摘されてきたが、いまだに不安が残る。特に、地方で急激な感染拡大が起きれば、医療崩壊の懸念がある。都道府県を超えた支援体制を確立しておかなければならない。
保健所は感染拡大防止の要であり、保健師を応援派遣する仕組みを整えることも急がれる。
正確な情報を分かりやすく伝えるリスクコミュニケーションは、改善の余地が大きい。重要な場面では、菅首相が政府の対策について自ら国民に説明することが求められる。
厚生労働相に再び起用された田村憲久氏は、検査体制の目詰まり解消などを政府に提言してきた。感染対策の責任者として、実行力が問われる。