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所変われば、事情も変わる。政権の方針や制度、歴史、慣習、地理、人々の志向の違いが、各国の経済や社会に特徴を生み出している。毎月テーマを変えながら、海外の現場を歩き、日本の実情を見つめ直していく。

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ブランド価値2500億円 王室の経済効果は 英国

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ロンドンの老舗仕立屋は(右上から)エリザベス女王、フィリップ殿下、チャールズ皇太子の3人からお墨付きを得ている=ロンドンで
ロンドンの老舗仕立屋は(右上から)エリザベス女王、フィリップ殿下、チャールズ皇太子の3人からお墨付きを得ている=ロンドンで

 在位68年のエリザベス女王を頂点とする英王室。かつては故ダイアナ元皇太子妃が世界的に人気を集めたほか、今年3月のヘンリー王子の王室離脱などニュースにも事欠かない。英国や英連邦の象徴という役割を担う英王室だが、経済的にはどれほどの効果をもたらしているのか。

 9月上旬。ロンドン中心部のバッキンガム宮殿を訪れると、例年より大幅に少ないものの、観光客の姿があった。宮殿前で友人と写真を撮っていた英国在住のカナダ人女性(26)は「英王室は伝統があり国際的。それを感じられる建物や場所がたくさんあるのがいい」と魅力を語る。宮殿近くで土産物屋を経営するムハマド・アリガイシンさん(70)は「今は、まったく商売にならない」と嘆きつつ、感染収束後の王室の集客力に期待を寄せた。

 「君主制は象徴としても経済的にも英国の宝だ」。英ブランド評価会社「ブランドファイナンス」のデイビッド・ヘイ最高経営責任者(CEO)は、そう表現する。同社が2017年にまとめた報告書によると、王室関連の観光地や関連ブランドが生み出す経済効果は年間約17億6600万ポンド(約2500億円)という。このうち観光分野が5億5000万ポンドを占める。

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