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藤原帰一の映画愛

鵞鳥湖の夜 暴力と隣り合わせの闇 現代中国の虚無感漂う

 中国から届いた、スタイリッシュなフィルムノワール。もともとは1940年代を中心にハリウッドで流行した犯罪映画を形容して使われた言葉ですが、犯罪映画というよりも光と闇のコントラストが身上。街灯が照らす雨にぬれた歩道、煙草(たばこ)をくわえた男、そして運命の女、これだけで画面が思い浮かぶでしょう。

 この「鵞鳥(がちょう)湖の夜」は、中国の地方都市にノワールの闇を再現するところから始まります。駅の出口なんでしょうか、コンクリートの柱が並び、向こうに見える屋台のような店の灯(あか)りのために手前の闇がいっそう深い。その柱に隠れるかのような男のところに赤いドレスの女がやってきて、煙草の火を貸してくれないかと声をかける。意味ありげなこのはじまりから、映画は過去にさかのぼっていきます。

 ストーリーは、ごくシンプル。主人公のチョウはバイク窃盗団の一員ですが、縄張りを決める際に内輪もめが起こり、因縁をつけた相手にチョウの手下が発砲したために抗争寸前、混乱のなかでチョウは誤って警官を撃ち殺してしまいます。警察が通報者に30万元の報奨金を払うと発表したので、チョウはギャングと警察から逃げなくてはいけない。チョウと謎の女の逃避行です。

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