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PCR検査、立ち会い禁止 コロナ禍での出産体験記 不安でも「孤独」なかった 元気にたくましく育って /奈良

分娩室で助産師が撮影した生まれたばかりの我が子=奈良市で2020年6月19日午後0時16分

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 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、6月19日に第2子となる女児を出産した。もし、自分が感染していたら、胎児への影響はあるのか。医師にうつしてしまったら、病院の機能を止めてしまうのではないか――。そんな不安を抱えながら臨んだ出産。今はただ、元気に生まれてきてくれたことに感謝している。【塩路佳子】

 出産したのは、新型コロナの患者も受け入れている奈良県内の総合病院。産科では、検診の付き添いや分娩(ぶんべん)時の立ち会いが禁止され、入院中は夫にすら会うことができなかった。助産師らを講師に分娩や産後について学ぶ「母親学級」も中止された。疑問や不安を解消するだけでなく、同時期に出産を迎える母親同士のつながりをはぐくむ場でもあったのだが……。待合室では受付の人との会話も少なめで、入院時の準備品を教わるにも、こちらから尋ねなければならないような雰囲気があった。初産婦であれば私も大きな不安を感じていただろう。

 病院では、妊娠10カ月の37~38週の妊婦全員にPCR検査を求めていた。私は37週6日で検査。病院の敷地内に設置されたテントで鼻の奥に棒を突っ込まれて検体を採取し、翌日に陰性と判明した。費用の自己負担はなかった。

 妊婦が陽性と判定された場合、帝王切開をせざるをえなくなったり、出産後に新生児と過ごせなかったりするリスクもある。医師からは、実際は陽性なのに陰性とされる「偽陰性」の可能性もあることを伝えられたが、出産に向けて検査が一つの安心材料になったことは確かだ。産後はトイレやシャワーを共有する大部屋に入院することになっていたため、感染の不安が軽減したことは大きかった。

 そして、1週間後に迎えた出産本番。日本産科婦人科学会が5月に実施したアンケートでは、調査に協力した全国766の分娩施設のうち64%が分娩時に妊婦はマスクを「する」と回答していたが、私のケースでは求められなかった。ただでさえ大変なお産だ。マスクをしていたら、どれだけ息苦しかっただろうと考えたら、病院の対応は正直、ありがたかった。

 「オギャー」と産声を上げた我が子は、取り上げた助産師がすぐにスマートフォンのカメラで撮影してくれた。陣痛の痛みを和らげるため背中をさすってもらったり、時には「まだいきんでは駄目」と叱咤(しった)されたり。家族こそそばにはいなかったが、私は決して「孤独な出産」ではなかったと感じている。

 授乳などスキンシップの欠かせない育児では、これからも感染予防に気が抜けない。コロナ禍に生まれた我が子には、たくましく育ってほしいと願っている。

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