メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

菅首相は「地方に優しくない」 潜む新自由主義と翼賛の危機 「左遷」された元官僚が伝えたいこと

ふるさと納税制度について「制度の担当局の責任者として申し訳なく、忸怩(じくじ)たる思いを抱いています」と振り返る元総務官僚の平嶋彰英さん=東京都内で2020年9月4日、竹内麻子撮影

 菅義偉氏に抵抗して左遷されたとされる元官僚がいる。平嶋彰英さん(62)。現在は立教大特任教授(地方税財政)を務める平嶋さんは総務官僚当時、菅氏肝いりの政策である「ふるさと納税」の問題点を訴え、前政権で問題になったような忖度(そんたく)をしなかった。平嶋さんが考える、新首相となった菅氏の実像と官僚のあるべき姿とは。【聞き手・竹内麻子】

 ――平嶋さんは総務省自治税務局長だった6年前、菅氏が力を入れる「ふるさと納税」の拡充策に反対意見を述べたために、更迭されたと聞いています。

 ◆官房長官だった菅さんからふるさと納税の寄付控除の上限を倍増させるよう言われたので、「返礼品の制限を検討した方がいい」と訴えました。現在問題になっている高額返礼品競争のような事態が想定されていたからです。自治体に通知で自粛を要請するだけでなく、法律に書きたかったのですが、菅さんからは「通知だけでいいんじゃないの。総務省が通知を出せばみんな言うこと聞くだろう」と言われました。高額所得者には自己負担を入れる案も提示しましたが、却下されました。私個人の意見ではなく、大臣を含め省内で了解した内容です。

 ――その後、アマゾンのギフト券を返礼品にした大阪府泉佐野市が自粛通知に従わなかったとして、国がふるさと納税制度から外しました。この手法が問題になり、国が敗訴する混乱もありました。

 ◆こういうことが起きないように制度を作らないといけなかった。制度の担当局の責任者として申し訳なく、忸怩(じくじ)たる思いを抱いています。

 ――最終的には、菅氏の意向に従って拡充を進めましたが、翌年に自治大学校長へ異例の異動がありました。

 ◆官房長官室で菅さんに「時間切れはダメだ」ときつい顔で言われたときに、「これはやばいな」と思いました。「これで許したら俺の沽券(こけん)に関わる」と顔に書いてありましたから。私が帰った後、他のアポイントを外して、私の上司らに電話をかけまくったらしいです。菅さんは「政権の決めた政策の方向性に反対する幹部は異動してもらう」と公言していますが、制度設計の段階で問題を指摘しただけで左遷するのでは、まともな検討はできません。省内はみんな、ふるさと納税に触らなくなりました。私以外にも菅氏に抵抗して左遷された人はいます。菅さんには、問題点を把握して見直しを指示するだけの度量と見識があってほしいですね。

 ――ふるさと納税については、「都会で暮らしているがふるさとのために貢献したいと思う人は多い」と話し、秋田県で…

この記事は有料記事です。

残り2750文字(全文3800文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 「第5のがん治療」光免疫療法 世界に先がけ承認 期待と課題は

  2. #排除する政治~学術会議問題を考える 「だんまり決め込むなら、学術会議はなくなったらいい」木村幹教授の痛烈投稿 その真意は

  3. 「財研」記者日記 (1)財務省の花形ポスト「主計官」 喜怒哀楽に富む意外な素顔

  4. 与党はまた“首相隠し”に走るのか くすぶる支持率低下の不安 臨時国会の行方

  5. 札幌で最多46人感染 芸能事務所でクラスター「メンバー体調不良でもイベント」

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです