大阪地検特捜部による証拠改ざん事件の発覚から10年。検察は、容疑者の自白に過度に依存してきた捜査の在り方を根本から変える改革を迫られてきた。取り調べの録音・録画(可視化)は定着し、客観証拠を重視する流れも強まりつつあるが、新たな課題も浮上している。【金寿英、志村一也、二村祐士朗】
2018年夏、東京拘置所の取調室。東京地検特捜部に逮捕された容疑者の男性は連日、特捜検事と相対していた。検事の左斜め後ろには、男性だけが映る角度でビデオカメラが固定されていた。録音・録画は入室時から始まり、休憩時に立ち上がって屈伸運動をすると、「そっちだと映らない。こっちでやって」と事務官に促されたという。
特捜検事はかつて、取調室で容疑者と長時間向き合い、時には威圧的に迫って自白を得ることに力を注いできた。しかし、証拠改ざんを生んだ郵便不正事件では、大阪地検特捜部が、村木厚子・厚生労働省元局長が部下に不正を指示したとするストーリーに沿った供述調書を次々と作成。密室での強圧的な取り調べが問題視された。ついにはストーリーに合わせる形で証拠品のデータを改ざんする事態まで発覚し、供述調書依存からの脱却と、…
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