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田中優子 法政大総長

 着物業者さんからの手紙に、お茶会、踊りや三味線など芸事の発表会、落語、芝居、着物の展示会などが次々と中止になっている、と書かれていた。「このままでは日本文化はどうなるのだろう」という懸念である。料理屋、お茶屋、芸者さんたちの世界も、キャンセルがあいつぎ、立ち行かなくなっている可能性がある。

 以前、江戸時代の人々は比較的、社会的距離を保っていたことをここで書いたが、芝居や芸事となるとそうでもない。茶会は広い場所でおこなうこともあるが、基本的には狭い空間で密になって茶をたて、掛け軸を拝見し、茶わんをめで、話し、茶をいただく。芝居は皆が前を向いておとなしく鑑賞したりはしない。酒を飲み、食事をし、掛け声をかけ、つ…

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