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#やまゆり園事件は終わったか~福祉を問う

植松聖死刑囚の死刑判決が確定した相模原障害者殺傷事件。日本の障害福祉政策の問題点と、解決の道筋を探ります。

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#やまゆり園事件は終わったか~福祉を問う

⑨時代先取りのはずが…施設解体宣言、撤回の背景を追う 障害者にとって「普通の生活」とは

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建て替え前の船形コロニーの一室=宮城県大和町で2017年6月8日、西田真季子撮影
建て替え前の船形コロニーの一室=宮城県大和町で2017年6月8日、西田真季子撮影

 津久井やまゆり園のように1960年代以降に建てられた大規模な知的障害者入所施設は「虐待の温床」といわれながらも全国に存続する。定員300人規模の「宮城県船形コロニー」は、一度は知事によって解体が宣言されながら、その後、存続することになった。その背景を追うと、大型施設を閉める難しさが改めて浮かび上がってきた。【塩田彩、上東麻子/統合デジタル取材センター】

目指したのは「普通の生活」

 <普通の生活は施設の中にはない。地域にしかない。であるとすれば、地域の中で、知的障害ゆえに発生する特別なニーズに応えていくことこそが、障害福祉の仕事である。グループホームがある。日常生活の援助がある。金銭管理、人権擁護、就労の確保などなど、やるべきことはたくさんある。宮城県での知的障害者への福祉が目指すべきは、この方向である>

 これは2004年2月、当時の宮城県知事・浅野史郎さん(72)が発表した「みやぎ知的障害者施設解体宣言」の一節だ。02年11月に、船形コロニーを10年までに解体し、485人の入所者全員を地域生活に移行させる方針が運営事業団によって示されていた。解体宣言は県知事として、施設解体の受け皿を整備していくという決意表明でもあった。

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