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JR九州の駅無人化「移動の自由の妨げで違憲」 大分の車椅子男女3人が賠償提訴

提訴に向かう原告の宮西さん、五反田さん、吉田さん(前列左から2、3、4人目)=大分市荷揚町の大分地裁前で2020年9月23日午後1時39分、河慧琳撮影

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 JR九州が合理化などを理由に進めている駅無人化で鉄道による移動の自由を妨げられているとして、大分市で車椅子生活をしている男女3人が23日、同社に1人当たり11万円の損害賠償を求める訴訟を大分地裁に起こした。全国で進むJRの駅無人化の是非が司法の場で問われるのは初めて。提訴後に記者会見した原告らは「駅員がいないと列車の乗降などに支障があり、過度な無人化は障害者の社会参加を阻む」と訴えた。

 提訴したのはいずれも大分市在住の吉田春美さん(67)と五反田法行さん(36)、宮西君代さん(58)。吉田さんは1歳の時に脳性まひと診断され、25歳から車椅子での生活。宮西さんも脳性まひで40歳から車椅子生活になった。五反田さんは高校2年生の時に脊髄(せきずい)を損傷して体の自由を失い、移動には車椅子が欠かせない。

 訴状などによると、車椅子生活の原告らは鉄道利用に駅員の補助が不可欠だが、JR九州は遠隔操作システムを導入して都市部や都市近郊の駅で無人化を進めている。同社は主要駅にオペレーターを常駐させて補助が必要な障害者にも対応するとしているが、障害者が補助を受けるには事前予約が必要。障害者の移動の自由を妨げる駅無人化は違憲で、障害者差別解消法にも抵触するとしている。

 JR九州は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。

提訴後に記者会見する(右から)原告の宮西さん、吉田さん、五反田さん=大分市中島西の県弁護士会館で2020年9月23日午後2時10分、河慧琳撮影

 提訴後に会見した五反田さんの最寄り駅は2018年に無人化された。親しい友人と気軽に飲食することも難しくなったという。「公共交通機関である鉄道は障害者である自分たちにとってのライフラインだ。利益を優先して無人化を進めることは障害者の移動の選択肢を制限する」。五反田さんはそう述べ、きっぱり訴えた。「それは結果的に障害者を切り捨てるのと同じです」

 吉田さんの最寄り駅もJR九州の現行計画では将来的に無人化される。吉田さんは「駅を無人化して障害者に事前予約を求めるという制約は、障害者の自由な移動を制限し社会参加の道を狭める。駅に人がいることで危険が解消され、初めてバリアフリーが可能になる」と主張した。

 宮西さんも「JRは民間企業だが、鉄道は誰もが利用する移動手段だ。利益最優先で駅を無人化し、障害者に事前予約を求めるのは不平等だ」と訴えた。

 会見に同席した弁護団の徳田靖之弁護士は「JRは公的な企業であり、一般の民間企業とは異なる。障害がある人の社会的な壁を取り除くため、企業は合理的な配慮をする必要があることを訴えていきたい」と話した。

 駅の無人化に伴う遠隔操作システムはJR東海と西日本が13年、東日本が14年、九州が15年に導入した。近くの主要駅に常駐するオペレーターがカメラで監視し、インターホンで乗客対応する。JR九州によると、過去5年で福岡、大分、鹿児島3県の無人駅計36駅を同システムで管理するようになった。同社広報は「鉄道維持のため、合理化や効率化はやむを得ない」としている。【河慧琳】

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