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恋ふらむ鳥は

/108 澤田瞳子 画 村田涼平

 

「三韓館にはまだ百済(くだら)の衆がお暮らしとか。彼らを追い出し、今から館を整えるのも大変です。ついては使節には難波到着後、そのまま山前(やまざき)(現在の京都府大山崎町)経由で飛鳥に向かってもらいます。その前に一旦、難波宮(なにわのみや)でご休憩いただきますので、用意をよろしく」

 難波津から飛鳥に向かうには、難波大道を南下し、二上山(ふたかみやま)の南で山越えするのがもっとも早い。それにもかかわらず難波津から大川(淀川)沿いに一行を北上させ、山前・菟道(うじ)経由で飛鳥に向かわせるのは、二百五十余名の使節団の足を気遣うとともに、ともすれば敵となる相手に簡便な山道を教える必要はないとの、葛城(かつらぎ)らしい判断に違いなかった。

 こちらの出方一つで戦になりかねぬと告げられ、善光(ぜんこう)の頰は完全に強張(こわば)っている。伊賀(いが)はそれにはもはや眼(め)もくれず、深く顔を俯(うつむ)けたまま、立ち上がった。

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