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詩の橋を渡って

記憶が支えるわたしの今=和合亮一(詩人)

わたしは皆とはちがう

全員がささやかにあらがう

でも完全にちがうのはこわい

 五十歳を過ぎたからなのか。記憶についてあれこれと考えるようになった。時間の引き出しを開くようにして何かを書こうとしている自分に気がつく。年をそれなりに重ねたということなのだろうか。たくさんの詩集を読み耽(ふけ)りながら、その詩人の記憶がどのようにそこに写し取られているのかをあらためて味わってみる。言葉にならない何かを形にしていくことと記憶の鮮明さが重なる時に、現実を超える力がそこに宿っていく感触がある。

 十三歳の一冊に惹(ひ)かれた。三角みづ紀「どこにでもあるケーキ」(ナナロク社)。「十三歳のわたしは、繊細で、ひどく図太(ずぶと)くて、ひどく鋭敏だった。三十八歳のわたしが十三歳になって詩を書こうとしたら、同じく繊細で、ひどく図太くて、ひどく鋭敏だった」とあとがきに。記憶が生き生きとそのまま描かれた現代の現在になっていて、思い返しているという印象は一つもない。その為(ため)には「繊細さ」「図太さ」…

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