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種目別専念の本音 キング内村航平に芽生えた初めての感情と決断

個人総合ではなく種目別の鉄棒に絞ることを決断した理由を語る内村航平=群馬県高崎市で2020年9月22日、宮間俊樹撮影

 体操の男子個人総合で五輪を2連覇した内村航平(31)=リンガーハット=は、「6種目をやらなければ体操じゃない」と個人総合への強いこだわりを持っていた。その内村が、なぜ種目別の鉄棒に絞って東京オリンピックを目指すことを決断できたのか。再スタートを切った9月22日の全日本シニア選手権(群馬・高崎アリーナ)での演技終了から約4時間後、毎日新聞のインタビューに対し、決断の裏にある本音を明かした。【構成・円谷美晶】

 種目別に専念後初の実戦は、鉄棒で6位(14・200点)。初めて公式戦で挑戦したH難度の離れ技「ブレトシュナイダー」ではバーをつかんだものの、バランスを崩して後の演技に影響した。それでも直後の記者会見では晴れやかな表情を浮かべ、「昔みたいな輝きを」と五輪での復活に向けた思いを口にした。

 「(輝いていた自分は)リオデジャネイロ五輪(2016年)の表彰台の時かな。あとは、東京の世界選手権(11年)。体の感じ、けがの感じ、全部覚えている。取り戻すことはたぶん不可能だけど、近づけたいと強く感じています」

 リオ五輪後の4年間は、けがが相次いだ。17年の世界選手権では左足首を負傷し、棄権。国内外での個人総合の連勝記録が40で止まった。昨年は両肩を痛めた影響などで、代表入りも逃した。体は満身創痍(そうい)の状態で、得意種目の鉄棒に絞る選択肢は以前からあったという。

 「個人総合で(五輪に)行けるのは、6種目ちゃんとDスコア(演技価値点)があって、安定している選手。そうなると、かなり自分の体には負担が大きい。それを追い求めていっても、オリンピックは見えないという気持ちはあったので。得意な鉄棒は(18年の)ドーハの世界選手権でも種目別で2位になった。そこを突き詰めていった方がいいんじゃないか、という思いを持ちながらやっていました」

 地元開催の東京五輪に出場したい。自分が一番輝いていた五輪の舞台でもう一度、頂点に立ちたい。そのためには種目別の鉄棒に絞るべきだと頭では理解していたが、体操界の「キング」と呼ばれるほど個人総合で頂点に立ってきた内村は、そのプライドを捨てきれなかった。かたくなな心を解かしたのは、専属コーチの佐藤寛朗さん(31)の言葉だった。

 「(今年2月の)オーストラリア合宿から帰国する前、佐藤から『6種目やる必要ありますか?』…

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円谷美晶

毎日新聞東京本社運動部。1985年、東京都生まれ。2009年入社。北海道報道部、千葉支局を経て、東京社会部では気象庁や東京都庁を取材。18年から東京運動部で五輪取材班となり、体操、トライアスロンなどを担当。高校までの部活動は陸上で中・長距離の選手。いつも皇居周りを走っていた。

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