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「40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て」とは、奴隷解放で知られる第16代米大統領リンカーンの言葉だそうである。
リンカーンは19世紀の政治家だが、これを紀元前に既に述べていた人物がいる。古代ローマの政治家で弁護士のキケロだ。
彼はこう言ったという。「顔つきは魂の忠実な像である」(田辺貞之助訳)。家柄が重視される古代ローマにあって、平民出身のキケロは苦学のすえ資格を取り、身を起こしていった。
彼は財務官僚時代、苛烈な税を取り立てていた総督の責任を追及し、総督側の高名な弁護士を打ち負かして勝訴。この弾劾裁判の弁論をまとめた本(「ウェッレス弾劾裁判」)は“時代の証言”として2000年の風雪に耐え、当時の政治シーンを知るための貴重な公文書資料となっている。
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