<活字を楽しむ>
(山極寿一著 家の光協会、1300円(税抜き))
スマートフォンやインターネットの普及により、現代社会には情報があふれている。常時更新され、人々は乗り遅れまいと慌ただしい。そこで、人間の行動の意味を、一度立ち止まって考えてみよう、というのが本書の試みだ。40年以上にわたりゴリラ研究に従事してきた京都大学長の山極寿一氏が、アフリカや国内でのフィールドワークなどの思い出を紹介し、それらを通じて「私たちはどう生きるか」を示す。
山極氏によると、ゴリラから学ぶことは多い。食事の意味から友達の作り方まで、本書のタイトルにあるように「人生で大事なこと」ばかりだ。外食やインスタント食品のおかげで食事の時間が節約され、孤食の機会も増えたが、それは仲間と集う大事な機会を損失していることをも意味する。ゴリラは仲裁がうまく勝ち負けを作らないという。勝つことばかりが礼賛され、友達関係を壊すことにもつながる風潮への警鐘でもある。
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