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社説

証拠改ざんから10年 不断に検察捜査見直しを

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 大阪地検特捜部による証拠改ざん事件の発覚から10年がたった。検察が筋書きに合わせて強引な取り調べを行い、物証まで改変していた。検察への信頼は失墜した。

 その後、検察をはじめとした刑事司法改革が進められてきた。しかし、依然として課題は多い。

 改革で、録音・録画による取り調べの可視化は大きく進んだ。

 裁判員裁判の対象事件と検察の独自捜査事件は、逮捕した容疑者の取り調べを全て録音・録画するよう義務づけられた。検察は、それ以外も含めた大半の事件で、可視化に取り組んでいる。

 容疑者が自白を強要されたかどうかが裁判で争われるケースは減った。取り調べに臨む検察官の意識も変わったという。

 ただ、検察が可視化に積極的なのは、有罪を証明する有力な証拠として、録音・録画を活用するためだ。その姿勢は、結果的に「自白偏重」の状況を招きかねず、制度の本来の趣旨から逸脱する懸念がある。

 最近、東京地検特捜部が手がけた事件では、身柄を拘束されていない人への威圧的な事情聴取が指摘され、訴訟も起きている。

 検察に都合のいい部分だけ、録音・録画するケースがあったとの証言もある。全面可視化を義務づける対象を拡大すべきだろう。

 長時間にわたる取り調べや、否認する人の長期勾留への批判も根強い。取り調べに弁護人が立ち会うことを検討すべきだ。

 容疑者の自白に頼らない捜査手法として司法取引が導入された。起訴見送りなどと引き換えに他人の犯罪を明かす制度だが、無実の人を巻き込む心配がある。適切に運用されているかを監視する仕組みが必要になる。

 検察は全ての犯罪を捜査することができ、起訴の判断をほぼ独占している。独善に陥ることは許されない。不起訴の理由や捜査の手続きなどについて、説明を尽くすことも求められる。

 東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年延長問題と賭けマージャンによる辞職で、検察は再び厳しい批判にさらされている。

 社会の公正さを守るとりでとして、その基盤は国民の信頼だ。捜査のあり方について、不断の見直しが欠かせない。

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