最激戦区ペンシルベニア ルーズベルト政権由来の民主党の町が宗旨替えしたわけ
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11月3日投開票の米大統領選で最も激しい戦いとなっている選挙区の一つが東部ペンシルベニア州だ。2016年の前回選では得票率1%未満の僅差で共和党のドナルド・トランプ大統領(74)が制したが、同州が生まれ故郷の民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)も奪還に躍起だ。勝敗の鍵を握る州西部の白人労働者の町を歩いた。【ノーベルト(ペンシルベニア州西部)で高本耕太】
ニューディールの申し子たちが共和党支持に
かつて鉄鋼業の中心地として栄えたピッツバーグから南東へ約50キロ。トウモロコシ畑の先、ゆるやかな丘の上にノーベルトの町が見えてきた。人口1000人に満たない静かな集落のいたるところにトランプ氏を支持する旗や看板が掲げられている。バイデン氏の看板は数えるほどだ。
しかし、ここは元々民主党の町。1934年、当時のルーズベルト政権(民主党)が、貧困にあえぎ「忘れられた人々」と呼ばれた失業者たちのため建設した公共住宅地区だ。
ジョセフィーン・リンデンさん(88)は61年前に結婚、夫のノーベルトの実家に移り住み、義母から入植当時の様子を聞かされた。「女性たちは集まって収穫した食料を缶に詰めるなどの共同作業をした。家族同士が助け合い暮らしていた」。3ベッドルームの家の賃料は月14ドル。2エーカー(約8000平方メートル)以上の菜園用の土地と鶏小屋、ブドウ棚もついてきた。
29年の大恐慌以降、周辺の炭鉱が相次ぎ閉山。職を失った労働者とその家族は劣悪な環境で暮らしていた。政府はドイツから計画経済の専門家を招き、住民が共同運営する農場や養豚場を建設。縫製工場を誘致するなど、住居と共に生計も確保した。250棟の新築住宅に2000件近い応募が殺到した。
スロバキアやポーランド系移民が中心の入植者は、政府が経済に深く介入するニューディール政策の申し子たちと呼ばれた。地元紙が「草原の共産主義者」とやゆしても、新たなコミュニティーは住民の誇りだった。街の名称ノ…
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