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90歳ギリヤーク尼ケ崎さん 横浜で「命がけの舞台」へ 新宿公演コロナで断念

昨年10月の東京・新宿公演で熱演するギリヤーク尼ケ崎さん。多くの観衆がおひねりを投げ入れた=東京都新宿区で2019年10月14日午後3時45分、根岸基弘撮影

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 観衆の投げ銭を糧に生きるまれな芸風から「伝説の大道芸人」と称される舞踊家、ギリヤーク尼ケ崎さん(90)が40年以上ほぼ毎年続けてきた10月の東京・新宿公演が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催できなくなった。今年は観客を前にしての開催が危ぶまれたが、支援する人たちが奔走し、横浜港大さん橋国際客船ターミナル(横浜市)で10月11日に開かれることが決まった。ギリヤークさんは「海で育った僕にとって原点に返れる場所。新しい踊りの可能性を探りたい」と意気込む。

来月公演する横浜港大さん橋国際客船ターミナルに下見に行った時の画像を見るギリヤーク尼ケ崎さん(右)と、支援者の紀あささん=東京都世田谷区で2020年9月15日、後藤豪撮影

 西新宿の新宿三井ビル「55ひろば」を会場にした10月の青空舞踊公演は1978年に始まった。芸人生命をかける場でもあり、今年も「体調がどんなに悪くても新宿で踊りたいと思っていた」(ギリヤークさん)。昨年は雨が降る中、約500人の観衆が集まり、たくさんの投げ銭が飛び交った。しかし、今年は新型コロナの影響で、ひろばの管理会社から利用許可が下りなかった。

 命がけの踊りを今年も見てほしい――。写真家の紀(きの)あささんら支える人たちは、東京近郊や名古屋などあちこちに当たって会場を探す中、横浜での開催にこぎ着けた。

 今年の会場は「くじらのせなか」と呼ばれる開放感のある屋上広場。ここで、おはこの創作舞踊「念仏じょんがら」などを披露する予定だ。紀さんは「コロナ禍なのでオンライン公演という選択肢もあったが、直接観客の反応を体感できる形がギリヤークさんに合っていると思った」と話す。観客にはマスク着用やソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つことなどを呼びかける。

 北海道函館市生まれのギリヤークさんは68年10月、38歳の時に初めて東京・銀座の路上で踊った。70年代半ばからはフランスや米国、ロシアなど海外にも活動の範囲を広げ、現地の新聞に大きく取り上げられた。95年の阪神大震災、2001年の米同時多発テロ、11年の東日本大震災の被災地でも鎮魂の踊りをささげてきた。

昨年10月の東京・新宿公演で熱演するギリヤーク尼ケ崎さん。多くの観衆がおひねりを投げ入れた=東京都新宿区の新宿三井ビルで2019年10月14日午後3時43分、根岸基弘撮影

 卒寿のギリヤークさんは満身創痍(そうい)だ。手足が震えるパーキンソン病や背骨が曲がる脊柱(せきちゅう)管狭さく症などを患い、リハビリや投薬治療を続ける。今年5月には心臓に埋め込んだペースメーカーを交換する手術も受けた。

 伝説の大道芸人の姿を映像に残そうと、記録映画の撮影が進められている。生まれ故郷の函館市や、両親の墓がある秋田県能代市などゆかりの地で踊った映像などがDVDに収められる予定だ。ギリヤークさんは「舞踊界の元気な90歳をお見せしたい。いつ死ぬか分からないけれど、僕が頑張らなきゃ」と自らを鼓舞し、横浜公演に臨む。

 横浜公演は10月11日午後2時から。DVDは年内に販売予定で、事前予約はhttps://kino.shopselect.net/へ。【後藤豪】

横浜・大さん橋の会場を下見するギリヤーク尼ケ崎さん=2020年9月11日(ギリヤーク尼ケ崎さん提供)
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