「GoToイート」開始も不安消えぬ飲食業界 重い「送客手数料」負担、広がる困惑
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新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた飲食店を支援する政府の「Go Toイートキャンペーン」事業が10月から本格的に始まる。グルメサイトなどを通じて飲食店を予約するとポイントが還元される「オンライン飲食予約」と、国が販売額の25%を負担して発行される「プレミアム付き食事券」の2本立てだが、事業の恩恵を受けるはずの飲食業界からは前者について、不安の声が出ている。なぜこんな仕組みになったのか。【岡大介・統合デジタル取材センター/藤渕志保・経済部】
三つの省で分割、わかりにくさ残る
「経済産業省から事業が『降ってきた』……」。これが「イート事業」に対する、農林水産省内での共通認識だ。
イート事業は農水省が所管しており、「オンライン予約」と「プレミアム付き食事券」の2種類がある。だが、「オンライン」のほうは当初、農水省はタッチしていなかった。
一連の「Go Toキャンペーン」はそもそも、官邸の肝いりのコロナ対策だ。現在は「イート」は農水省、「トラベル」は国土交通省、「イベント・商店街」は経産省と所管が分かれて実施するが、もともとは官邸主導で企画され、経産省が一括で担当していた。
しかし、経産省が手がけていた「持続化給付金事業」について、実態の不透明な一般社団法人が受託し、さらにその大部分を広告大手の電通に再委託していた問題が浮上。これを受けて、三つの省で分割しての実施となったという。
農水省の担当者によると、「オンライン予約」に関しては、制度設計がほぼ固まっていて口を挟む余地がなかったという。だが同省は「オンライン予約に合わない業態の飲食店もある」と主張し、その結果プレミアム付き食事券が追加された。予算としては、「オンライン」と「食事券」それぞれ767億円の同額で決着した。
かくして、経産省由来のオンライン方式と、農水省発案の食事券方式という異なるものをクリップで留めたような仕組みになった。「利用者に選択肢を用意した」といえば聞こえはいいが、少々わかりにくさが残る。
オンライン予約の「送客手数料」とは
この「政府内部の事情」によって影響を受けそうなのが飲食業界だ。
東京・築地の海鮮丼店。店長の男性(61)は「グルメサイト側に『…
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