異例のおことばもメッセージとならず 触れあう機会減れば皇室への意識変化も 放送大教授・原武史さん
毎日新聞
2020/10/1 14:00(最終更新 10/1 16:44)
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8月15日の全国戦没者追悼式の天皇のおことばで、新型コロナウイルスに関する一文が加えられたのは驚きがあった。追悼文はほぼ定型が慣例化しているが、テレビを通じて国民に直接肉声を届けることができる数少ない機会に、思い切ったことをやろうとしているように見えた。社会が混乱する中で天皇によるメッセージを求める声も上がり、切迫感があったのかもしれない。ただ、平和を願う追悼文の中にあったためメッセージ性が埋没してしまった感は否めず、大きな反響を呼ぶことはなかった。
上皇が在位中の2011年3月の東日本大震災直後や16年8月の退位の意向がにじむビデオメッセージ(注1)は、国民に向かって語りかける姿勢が明らかだった。しかし今回は式典会場にある戦没者の標柱に向かって読み上げており、国民に向けた発信という姿勢を感じにくかったことも影響しているのではないか。
果たせない象徴の務…
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