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このたびシェークスピアの「リア王」(角川文庫、今月刊行)を新たに訳して発見があった。これまでどういうわけか読み飛ばしてしまっていたらしい、次のようなセリフの重要性に改めて気づいたのだ。まず、王としての権威を失って嵐の中で「風よ、吹け」と咆哮(ほうこう)するリア王は、その自然の厳しさにむち打たれながらこう述懐する。
「ああ、わしはこれまで気づいてこなかった。虚栄よ、薬にしろ。惨めな者たちが感じているものをおまえも感じろ。そうして余分なものを振るい落として貧乏人に与えれば、天に正義を示すことになろう」
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