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100兆円超の予算要求 放漫財政も継承するのか

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 菅政権が初めて編成する2021年度予算への各省庁の要求が締め切られ、総額は100兆円の大台を7年連続で超えた。新型コロナウイルス対策など金額を示していない要求も例年以上に多く、年末に決める予算は過去最大になる可能性がある。

 借金が1000兆円超にも上る危機的な財政状況にもかかわらず、歳出を拡大してきた安倍政権をしのぐような膨張だ。

 コロナ禍で先行きが見通しにくいことを理由に、要求ルールを極めて緩くしたためだ。既存経費は20年度と同額を基本としたうえで各省庁が「緊要」と判断した事業は別枠で上限なく要求できる。

 予算規模の大きい厚生労働省と国土交通省は20年度とほぼ同額を求めたのに加え、コロナ対策と防災は別枠とした。額を示さず、大幅な上積みを目指すという。

 来年10月までに行われる衆院選をにらみ、与党にばらまき型の歳出拡大を求める声が強まっていることも背景にある。

 感染症や災害から国民の暮らしを守る予算は惜しんではならない。だからといって、財政規律を緩めていいわけではない。不要不急の事業を減らさなければ、借金がますます膨らむばかりだ。

 コロナ禍で必要性が低下した事業は多い。整備新幹線の建設費増額が盛り込まれたが、政府が進めるテレワークは人の移動を減らすものだ。高速交通網の拡充に巨費をつぎこむ根拠は弱まった。

 だが、費用対効果が疑問視される道路や港湾など従来型のインフラ整備は「コロナ時代の成長基盤」と看板が掛け替えられた。コロナに乗じて、非効率な事業が温存されかねない。

 きょうで1年となった消費増税は、将来世代への膨大なつけ回しを減らすのが目的だ。景気悪化で生活が厳しい中、国民に負担を求めている以上、政府は財政立て直しの道筋を示す責任がある。

 安倍政権下では増税後も大盤振る舞いが続けられた。コロナ対策で大型補正予算を編成した際も既存経費は減らさず国債に頼った。

 菅政権の看板である行政改革で河野太郎担当相は無駄撲滅を唱える。ならば予算でもメリハリのある編成をすべきだ。放漫財政まで継承するのは筋が通らない。

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