東京証券取引所で1日発生したシステム障害による売買停止は終日続き、国内の証券市場は機能不全の状態に陥った。証券各社は顧客対応に追われ、この日新規上場した企業からは初値がつかない事態に落胆の声が聞かれた。東証は記録装置の故障が原因と説明したが、予備の装置に切り替わらなかった理由は分かっておらず、システムの弱さがあらわになった。
「障害に伴う売買の停止について」。日本取引所グループ(JPX)のホームページに1日午前8時39分に掲載された短い発表文が、この日の混乱の始まりだった。
通常なら各銘柄の株価が表示される東証のディスプレーは真っ暗のまま。東証には問い合わせの電話が相次いだが、担当者は「調査中としか言えない」と繰り返した。その後も「サイバー攻撃ではない」「設備の故障」などの断片的な情報しか市場には流れず、情報収集する市場関係者はその都度、困惑の色を深めた。
株式投資を始めて半年という主婦(51)はこの日、ツイッターで東証のシステムトラブルを知らせる書き込みに目を疑った。前日に購入した株が値上がりしたところで売却しようと考えていたためだ。「すぐに復旧するだろう」とパソコンの前で取引開始を待ったが、東証は昼ごろに終日取引を停止すると発表。「利益を確定できなくて残念」と悔しがった。
証券会社が集まる東京・茅場町では、店頭に表示されたテレビモニターの株価が空白となり、銘柄だけが表示される状態に。証券会社に40年勤める営業担当の男性(60)は「あってはならないこと。朝から顧客の電話対応に追われている」と憤った。証券各社の電話窓口には「いつから取引は再開するのか」などの問い合わせが相次いだ。
東証は上場会社の時価総額で世界3位。混乱する事態にあきれ顔の証券アナリストは「外国人投資家はこうしたシステム障害を嫌う。海外投資家を呼び込むはずが、こんなことでは」と突き放したように語った。
システム障害の中でも、野村証券、大和証券、みずほ証券などは投資家から取引の注文を受け付けたが、「東証の今後の発表によっては売買が成立しない可能性があると説明したうえで受け付けた」(野村証券広報)という。
一方、この日、新規上場した3社は予想外の事態に落胆を隠さなかった。ペット…
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