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宮城県気仙沼市の離島・大島選んだ決め手は? 空き家活用、テレワーク追い風

休日に改修を進めている自宅の外壁を見渡す平松さん。奥には新調したウッドデッキも=宮城県気仙沼市で2020年9月24日、深津誠撮影

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 宮城県気仙沼市の離島・大島に移住し、テレワークで元の仕事を続けている男性がいる。購入した古民家を自ら改修し、今年5月から住み始めた新潟市出身の設計士、平松拓自さん(31)。長年の希望だった田舎暮らしの場として、大島を選んだ理由は「ちょうどよい物件が見つかったから」。自身の経験から、移住者を受け入れるには魅力的な住居の提供がカギと実感し、島の空き家を活用して高齢化や人口減が進む地域の活性化を図りたいと考えている。【深津誠】

 平松さんは2014年、東北大大学院を卒業し東京の大企業に就職したが、17年に仙台市の設計事務所に転職した。古民家の再生を得意とする事務所で、「住宅のストックは過剰で、新築の必要はない」という自身の考えに近い仕事ができると感じた。

 東京や仙台のような都会暮らしがなじまず、田舎で暮らしたいと思って古民家を探すようになった。「島」が希望で、関東や出身の新潟、宮城県内を視野にインターネットなどで探し、気仙沼市の「空き家バンク」が目に留まった。その中に、大島の築80年超、100平方メートル弱の平屋があった。「キャンプで行ったことがある、良い島だった」

 17年末に内見し、すぐ購入を決めた。島と本土を結ぶ気仙沼大島大橋(全長356メートル)がかかることにも背中を押された。東日本大震災後は空き家だったため状態は良くなく、月に1~2回、島に来て改修を続け、市の補助も活用した。

 事務所の社長に、退職を覚悟して移住の計画を打ち明けると、「辞められると困る。在宅で働いてほしい」。テレワークが許され、橋の開通に合わせて19年春、島内の賃貸住宅に転居。そして5月、念願のマイホームに入居した。図面はオンラインでやりとりができ、仙台と気仙沼に拠点が分散しているため、現場への移動ではメリットも生まれた。

 保育士の妻(30)と1歳半の長男の3人暮らし。妻の新たな職場は島内で見つかり、買い物も橋があり苦労しない。近所に住む漁師から頻繁にウニやアワビのお裾分けをもらうのは驚きだった。「ウニは10年分くらいいただいた」と笑う。

 大島は東北最大の有人島。だが、1960年代に5500人を超えた島の人口は既に2400人を割り込んだ。震災後の9年半で900人以上減り、住民の高齢化も進む。

 自身の経験から実感したのは、住みたい家が見つからなければ、移住先の候補地に選ばれないことだ。新型コロナウイルスの影響で、以前よりもテレワークや地方暮らしへの関心が高まっており、将来は島の空き家の改修や移住希望者とのマッチングなどに携わりたいと考えている。

 「住む場所をかっこよく、新しく作り変えれば魅力的になる。住む人が楽しく暮らしていれば、人が集まると思う」

気仙沼に移住相談増

 平松さんも利用した市移住・定住支援センターにはこのところ、移住の相談が増えている。5~8月は42件の相談があり、前年同期比で2・6倍に。コロナ禍でのテレワークの拡大や、4月から導入したオンライン相談で利便性が上がったことが要因とみられる。

 センターによると、例年は4月からの新生活を見据えた年末年始に相談が集中し、新年度に入ってからの増加は珍しいという。相談を受けるのは首都圏の20~30代が多く、Uターン希望が目立つ。

 「コロナで仕事がなくなり会社を辞めた」「都心で働く必要がなくなった」「地方に住むなら、観光で好きになった気仙沼に」などといった声が寄せられており、担当者は「テレワークを利用して、気仙沼で暮らすことを豊かな選択肢と感じてもらえたら」と話している。【神内亜実】

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