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東京へ ともに歩む

毎日新聞

国産木材をふんだんに活用して建設された選手村交流施設のビレッジプラザ=東京都中央区で2020年1月29日、佐々木順一撮影

オリパラこぼれ話

オリンピックにSDGs 開催都市が取り組み

 選手村交流施設にスギやヒノキなどの国産木材、携帯電話や小型家電から金、銀、銅メダル、聖火台の燃料は二酸化炭素(CO2)を排出しない水素で……。2015年の国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」は、オリンピック大会でも開催都市の重要施策に取り入れられている。東京2020大会では二酸化炭素を排出しない選手輸送手段の導入や選手村の食品ロスの削減を目標に掲げるなど、持続可能な大会を目指している。

     国際オリンピック委員会(IOC)は1990年に五輪精神を広める「オリンピックムーブメント」に環境保全を加え、スポーツ、文化、環境を活動の3本柱にした。それまで、会場整備のための森林伐採は自然破壊だなどと環境保護団体から批判されてきていた。92年バルセロナ夏季大会では、各国の五輪組織委員会幹部らが「地球への誓い」に署名。五輪で地球を保護するための環境対策を進めることになった。創立100年を迎えた94年には五輪憲章に「環境」の項目を追加した。2年後には憲章を改定して、持続可能な開発への取り組みを奨励することを盛り込んだ。

     地球への誓い以降、各五輪大会組織委員会はさまざまな環境保全活動を実施した。日本オリンピック委員会(JOC)などによると、98年長野冬季大会は、「美しく豊かな自然との共存」を基本理念の一つに掲げ、開会式で放つ実物のハトの代わりに、地表に落ちると水分によって分解する植物繊維でつくった大小のハト形風船約3000個を使用した。選手村レストランではリンゴの搾りかすを混ぜて作った紙食器で食事を出した。00年シドニー夏季大会は、開催までに国内に200万本以上を植林。選手村は太陽光発電で運営した。各国の金メダリスト全員にユーカリの種が埋め込まれたカードを送り、自国で種をまいてもらった。12年ロンドン夏季大会は、工場やプラントなどがあった東部地区で競技場を新設する際に有害物質の土壌汚染を最新技術で浄化し、利用可能な土地に再生した。五輪スタジアムの屋根には不要になったガス管を再利用したという。

    「みんなのメダルプロジェクト」で使う再生金属を回収するために集められて山積みになった携帯電話=石川県内のリサイクル工場で2018年11月8日、手塚耕一郎撮影

     一方、東京2020大会組織委員会は、18年11月に国連とSDGs推進のための基本合意書を締結。いろいろな取り組みを打ち出している。選手村交流施設のビレッジプラザは、全国の自治体から借用したスギやヒノキなどの国産木材をふんだんに活用して建設された。新しくなった国立競技場の天井や壁にも国産木材が使われたことは、国内林業を活性化させる狙いがある。不要になった携帯電話や小型家電から回収した再生金属で五輪、パラリンピックの金、銀、銅メダルを製作する「みんなのメダルプロジェクト」は、全国から多数の協力があり、必要な全メダル約5000個を製造できることになった。日用品のシャンプーや台所用洗剤などの使用済み容器をリサイクルして100台の表彰台を作る事業も行われている。さらに、聖火台の燃料は従来のプロパンガスから二酸化炭素を排出しない水素を使う。選手輸送にも水素の燃料電池自動車が活躍する予定だ。

     SDGsは発展途上国、先進国の全世界が対象で「誰一人取り残さない」を理念に、持続可能なより良い社会の実現を目指している。未来に誇れる東京2020大会になることを期待したい。【関根浩一】

    関根浩一

    東京本社オリンピック・パラリンピック室委員。1985年入社。東京本社事業本部、千葉支局、成田支局、情報編成総センターなどを経て、2017年4月からオリンピック・パラリンピック室。サッカー観戦が趣味でこれまで多くの日本代表戦に足を運んでいる。最近はスコッチのソーダ割りを飲みながらボサノバを聴くのが楽しみ。