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日本学術会議に対する政権の人事介入が明らかになった。第2次安倍政権発足以降、首相官邸による官僚人事の掌握が政と官の関係をゆがめ、多くの弊害を生んできたとされる。学者の間では「政府の主張に反する特定の立場の人間を排除する、学問弾圧につながりかねない」と危惧する声が広がる。
9月28日夜、日本学術会議の事務局に、10月1日付で首相が会員に任命する学者らの名簿が内閣府から送られてきた。学術会議が推薦した105人分の氏名が記載されているはずだが、いくら数えても99人分しかない。「なぜ人数が足りない?」。事務局の問い合わせに、内閣府官房人事課は次のように答えたという。「人事上の問題で、理由は回答できない」
会員210人からなる学術会議は3年に1回、半数の105人を改選する。学術研究団体などから提出された推薦書をもとに、今回は2月から学術会議の選考委員会で選考が進められ、7月9日の臨時総会で候補者105人が承認された。8月31日、安倍晋三首相(当時)あてにその一覧表を提出。約1カ月が過ぎ、いよいよ新体制始動という矢先の「任命拒否」通告だった。
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