「恋愛」「聖地」「沼」の語釈、どう変わった? 新明解国語辞典が11月改訂

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
取材に応じる三省堂の山本部長(左)と吉村さん=東京都千代田区で2020年9月8日午後1時4分、上田泰嗣撮影 拡大
取材に応じる三省堂の山本部長(左)と吉村さん=東京都千代田区で2020年9月8日午後1時4分、上田泰嗣撮影

第8版は時代に沿って改訂

 三省堂の「新明解国語辞典」第8版が11月、全国で発売されます。約9年ぶりの改訂で「IoT」「ヘイトスピーチ」など約1500の新語・新項目が追加されました。

 新明解は刊行以来累計2200万部を発行している“最も売れている小型辞典”です。ユニークで実感あふれる語釈でも知られます。

 今回の改訂で変更された語釈のひとつに「恋愛」があります。第7版は「特定の異性に対して他の全てを犠牲にしても悔い無いと思い込むような愛情をいだき……」としていました。しかし、第8版では書き出しの「特定の異性」が「特定の相手」に変わりました。

 恋愛で思いを寄せる対象は「異性」とは限りません。辞書が「異性」と記述することで、同性に恋心を抱く人や、性別を持たない人の存在が見えなくなってしまいます。同社辞書出版部の吉村三恵子さんによると、性的少数者や性的役割分担に関わる記述を大幅に見直し、手を入れたとのこと。「著者の先生方を説得するのは大変でしたが、若い学生たちから寄せられた意見が後押しになりました。時代に沿った改訂になったと思います」と話していました。

 また、従来載っていた語についても語義や補説を増やしたものが多くあります。「聖地」や「沼」といった語に、新たに派生した用法として「(野球ファンの)聖地」や「沼(=没頭している趣味)」などを加えました。

 三省堂辞書出版部の山本康一部長は「新明解国語辞典」のスタンスについて「一貫して、語の意味とは何かを追求している」と言います。その語の社会的な評価や背景まで踏み込んで書かれた語釈は、深い思索の産物。「読む人には、時には反発を覚えたり、自分自身に改めて問いかけてみたりするなど、言葉について考える契機としてほしい」と願っています。

 第8版の発売は11月19日。装丁は赤、白、青の3種類で定価3100円(税別、小型版は2900円)。【塩川まりこ】

関連記事

あわせて読みたい

ニュース特集