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時の在りか

みんなたたき上げが好き=伊藤智永

「たたき上げ」の語源は、土間(三和土=たたき)作りで3種類の材料を混ぜ何度も突き固めた作業に由来するとも言われる=浅見茂晴撮影

 本人は意外というより、してやったりと思っているのではないか。菅義偉内閣の高支持率は、戦略的に作ってきたキャラクターイメージが図に当たった。公明党幹部が解説する世代別分析に苦笑させられた。

 「菅さんと同世代より上は、たたき上げの立身出世物語に弱い。目が潤んじゃう。若い世代は、令和おじさんとパンケーキ好きの親しみやすさにコロリ。その間の世代は、菅さんが新聞の人生相談愛読者と聞いて、自分たちの悩みも分かってくれているのではと勝手に期待する」

 どれも昨年から、メディアに菅氏が売り込んできた。新型コロナ感染症と安倍晋三前首相の体調は想定外だったにせよ、周到な仕込みがあればこその好発進である。

 実際は集団就職でも窮乏学生でもなく、「自分探し」の青春放浪だったが、多少の脚色は誰にでもある。それより官房長官になるや、同じ東北出身の雑誌記者に自分から電話して、故郷を出たいきさつを修正する長いインタビュー記事を書かせたのは、今思えば実にそつがない。

 たたき上げ物語の核心は、見ず知らずの横浜市で26歳から国会議員秘書11年・市議8年を務めた時の裏方人生にあるはずだが、そこはあまり語らないので実像は不明である。

 菅氏の卓越した政治能力は、優秀な議員秘書が備える所作の極北だ。気配りは首相になっても変わらず、事務所にお祝いを言付ければ、本人が返礼の電話をかけてくる。菅グループの自民党無派閥議員たちが持ち込む細かな陳情を自ら処理するまめさは、菅シンパを増やすには効果的でも、これじゃ頭の中が細切れだ、世界や人類や歴史といった大きな考えを巡らす余裕が残っているかなと余計なことが心配になる。

   *     *

 菅氏の手法を野党議員が「スーパーのやり手店長」に例えた。基本「何でも値下げ…

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