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三浦雅士・評 『文学で読む日本の歴史 近代的世界篇』=五味文彦・著

『文学で読む日本の歴史 近代的世界篇』

 (山川出版社・3960円)

「江戸は近代」生身の人間の往来活写

 面白い。歴史の醍醐味(だいごみ)である。

 五巻本「文学で読む日本の歴史」の最終巻。江戸中期の田沼時代から大政奉還までの百年を扱って『近代的世界篇』と称する。

 一般に江戸は近世、明治は近代。その江戸を「近代的世界」としたところに著者の史観が出る。読み進んで、これは確かに近代的世界と呼ぶほかないと思わせる。印刷が普及し識字率が上がる。印刷は草紙、浮世絵のみではない。農学書を普及させ、新思想を浸透させた。寺子屋も藩校も数がうなぎのぼり。日本にはすでに西洋を受け入れる準備ができていたと思わせる。

 見事なのは、生身の人間が何百人と登場し、時代の風潮すなわち世間を形成してゆくそのさまを活写していること。全五巻に共通しているが、「文学で読む」その文学とはいわゆる文学のことではない。そこに浮かび上がる人間のことなのだ。生身の人間が形成する時代思潮のうねりを捉えようというのである。文学史ではない。

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