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「走ることはやめない」 九州豪雨で失った祖父と自宅 元箱根走者公務員の覚悟

自宅近くの球磨川沿いの堤防を走る地下翔太さん。後方の沖鶴橋もトレーニングコースの一部だったが、崩落し渡れなくなっている=熊本県球磨村で2020年10月4日午前7時21分、徳野仁子撮影

 九州豪雨で大きな被害を受けた熊本県球磨(くま)村の役場職員、地下(じげ)翔太さん(32)の一日は早朝のランニングでスタートする。かつて箱根駅伝を走った市民ランナーだが、今、タイムを伸ばすことは気にしていない。豪雨で祖父と自宅を失いながらも復旧支援に当たってきた地下さんは、豪雨発生から3カ月となった4日も普段通り練習しつつ、古里の復興に思いを巡らせた。

 まだ薄暗い4日午前6時半すぎ。人けがなく、鳥のさえずりしか聞こえない球磨村渡(わたり)地区の集落に地下さんのシューズの足音が響いた。「ずっとここで暮らしてきたんですよ」。視線の先にある自宅は、豪雨で氾濫した球磨川の水に2階までつかった。変わり果てた姿で残る自宅には誰も住んでいない。

 被災するまで出勤前の練習は日課の一つだった。高校卒業後、上武大(群馬県)に進学し、4年生だった2011年に箱根駅伝に出場。帰郷して役場に入ってもトレーニングを欠かさず、12年に熊本市で始まった熊本城マラソンで2連覇を果たした。

 公務員となって10年目。担当の保育関連の仕事では、子育て世代が住みやすい街づくりに向け奮闘し、手応えも感じていた。そんな時に古里を襲ったのが今回の豪雨だった。発生から数日間は車中泊をしながら、朝から夕方までヘリコプターで運ばれてくる被災者を避難所へ誘導した。

 豪雨で愛用のシューズは泥だらけ…

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