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社説

東西ドイツ統一30年 協調と対話のけん引役に

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 東西ドイツの統一から30年になった。混迷する国際社会において、協調と対話の推進にドイツの果たす役割は大きい。

 第二次世界大戦で西側を米英仏軍、東側を旧ソ連軍に占領されて分裂し、ベルリンも東西に分かれた。1989年11月の「ベルリンの壁」崩壊から11カ月後、西独が経済の疲弊した東独を吸収する形で統一した。

 この時、ドイツが再び強国となることへの警戒感は周辺国だけでなく英国などにもあった。20世紀前半、ドイツの拡張主義によって欧州が戦乱の地となったためだ。

 統一ドイツは近隣国の懸念を念頭に、政治的影響力の拡大には慎重だった。欧州の統合に当たっても、政治は主にフランスに任せ、ドイツは経済に専念してきた。

 民主主義、人権など欧州の価値観を重視してきた。2015年に中東・アフリカから欧州に難民が流入した際、メルケル首相が国内の強い反対を押し切って受け入れ姿勢を堅持したのはその表れだ。

 メルケル氏は旧東独出身。新型コロナウイルス対策で移動の自由制限を求める際、「自由が苦難の末に勝ち取られた権利であるという経験をしてきた私にとり、絶対的な必要性がなければ正当化し得ない」と国民に理解を求めた。

 統一後、国内政治は比較的安定しているが、抱える問題も少なくない。

 旧東独地域の失業率は旧西独地域に比べて高く、住民の平均月収は8割程度にとどまっている。そうした東西格差と難民流入への反感が、旧東独で極右政党への支持が高まる要因となっている。

 欧州連合(EU)内にも不満がある。ユーロ危機の際、財政規律を重視するドイツは、財政が危機的状況に陥った国への支援に消極的で、イタリアやギリシャなど南欧諸国から批判が出た。

 英国が離脱したEU内でドイツの影響力が強まることは確実だ。ドイツはこれまで以上に周辺国に目配りする必要がある。

 世界では、トランプ米政権が自国第一の姿勢を強め、米中対立は深まっている。気候変動や難民、人権などの課題を前に、大国の動きは鈍い。持続可能な世界を実現するため、ドイツは指導力を発揮してほしい。

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