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社説

膨らむ防衛予算 コロナ下の聖域許されぬ

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 新型コロナウイルス対策で財政状況が一段と厳しくなる中、菅政権は防衛予算の特別扱いを続けるつもりなのか。

 来年度予算の概算要求で、防衛省分は過去最大の5兆4898億円に上った。今年度当初予算に比べて3・3%の伸びだ。

 米軍再編関連経費などは、項目だけを挙げて金額を示さない「事項要求」となっている。このため、防衛予算は年末の予算編成に向けてさらに膨らむ可能性がある。

 計画を断念した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策も事項要求だ。

 防衛省は、陸上イージス用のレーダーを転用し、迎撃ミサイル発射装置と合わせて洋上で運用する案を検討している。だが、技術上の検証が不十分なうえ、多額の費用がかかる可能性もある。

 いったん立ち止まり、代替策の必要性を含め、慎重に見直す必要がある。国会での開かれた議論も欠かせない。

 安倍前政権下、防衛予算は8年連続で増え、2015年度から過去最大を更新し続けてきた。

 防衛省は概算要求について、宇宙やサイバー、電磁波といった新たな領域の能力向上のための予算を増やしたと強調する。

 トランプ米大統領の求めに応じる形で、安全保障環境の変化を理由に、米国製の高性能で高額な装備品の購入も進めている。

 今回の要求増は、過去に契約した米国製のステルス戦闘機F35Aや早期警戒機E2Dなどのローン支払いが大幅に増えて額を押し上げたというのが実態だ。

 前政権下では、米政府と直接契約する有償軍事援助(FMS)が急増した。一般の商取引とは異なって競争原理が働かず、米国の「言い値」での取引になる。契約後も、事情の変化を理由に価格が高騰することもあり問題が多い。

 近年は、こうした支払いを前年度の補正予算に前倒しして計上するケースも目立つ。当初予算を抑えることで批判をかわす狙いがあるようだが、補正予算の趣旨から逸脱している。予算を透明化しなければ国民の理解は得られない。

 時代に合わせて優先順位を絶えず見直し、削る努力をしなければ予算は膨張するばかりだ。聖域を設けることは許されない。

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