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障害者「分身ロボット」が神奈川県庁案内 自宅などから遠隔操作 就労支援に

神奈川県庁内を案内する分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」。移動が困難な障害者が、分身ロボットを通じて話しかけてきた人と会話をしている=横浜市中区の県庁で、木下翔太郎撮影

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 移動が困難な障害者が自宅などから遠隔操作する分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」が、神奈川県庁のロビーで来庁者の案内業務にあたっている。県が掲げる共生社会の実現に向け、障害者の新たな社会参加や就労支援を目指す取り組み。県の担当者は「オリヒメの活用によって就労の新たな可能性が社会に認知されて、広がっていけば」と期待を寄せる。【木下翔太郎】

オリヒメは額にあるカメラを通して相手の様子が分かり、マイクとスピーカーで会話ができ、両手を動かすこともできる=神奈川県庁で、木下翔太郎撮影

 「すみません、医療課はどこにありますか」。9月下旬、県庁新庁舎1階のロビーで、来庁者役を務めた県職員が、入り口付近に設置されたオリヒメに話しかけた。オリヒメは、職員の方向にゆっくりと顔を向けると、「こんにちは。この建物の3階にあります」とはっきりとした声で答え、左手をあげて「左手エレベーターをご利用ください」と乗り場を案内した。

 オリヒメはオリィ研究所(吉藤健太朗代表)が開発した分身ロボット。高さ約23センチで、人の上半身をかたどっている。マイクとカメラを内蔵し、インターネットを通してパイロット(操作者)による遠隔での操作ができる。顔や腕が上下左右に動かすことで、意思表示も可能だ。

 パイロットはカメラを通し、設置された場所やオリヒメの前にいる人の様子がわかり、マイクとスピーカーで会話もできる。障害があり移動の制約があっても「行きたい場所」にオリヒメを置くことで行きたい場所の風景を見たり、その場で行われている会話に参加できたり、その場にいるようなコミュニケーションをとれるのが特長だ。

 2019年の参院選で初当選した筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後(ふなご)靖彦氏=れいわ新選組=が国会での使用を提案し、実証実験が行われたことでも注目を集めている。

 県ではこれまでにも、2019年11月に「共生社会アドバイザー」を委嘱したALS患者の高野元さんがオリヒメを使った遠隔操作で月2回程度、障害者政策に関する会議に出席している。「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念の普及を進める中でオリヒメの特長に着目。3月にオリィ研究所と「連携と協力に関する協定」を締結した。

 県はオリヒメや新たなテクノロジーを活用した共生社会の実現に向け、重度障害者など外出・移動が困難な人などがさまざまな形で社会参加できる環境の整備を進めることにしており、今回の障害者の就労支援の試行もその一環で行われている。

 今回は、オリィ研究所を通じて募集した、身体や心に重い障害を抱えて移動が困難な障害者4人がパイロット役を務める。県庁新庁舎の1階ロビーのほか、ロビー近くの「ともしびショップ」や平塚市役所本館1階にあるひらつか障害者福祉ショップ「ありがとう」で来庁者などへの声がけや案内、「ともに生きる社会かながわ憲章」の説明や憲章グッズの案内などを行う。

 試行は県庁か平塚市役所で開庁日に1日1時間程度、12月24日まで行われる予定だという。県の担当者は「取り組みの結果をまとめ、障害者の新たな就労支援につなげていきたい」と話している。

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