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社説

医療事故調査制度5年 活用される工夫をさらに

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 医療事故の再発防止を目指す事故調査制度が導入されてから5年が経過した。

 点滴ミスによる患者の死亡など医療事故が社会問題化したことを受け、医療従事者と患者双方が医療安全の向上を願って実現した制度だ。しかし、十分に活用されているとは言いがたい。

 病院などで「予期せぬ死亡」が起きた場合、医療機関側は原因を調べて遺族に説明し、第三者機関の医療事故調査・支援センターに報告する。センターは報告を分析し事故防止のための提言を行う。

 個人の責任を追及するのではなく、事故から教訓を得ることに力点を置いているのが特徴だ。

 医療機関からの報告が制度の根幹を支えている。問題はその件数が低迷していることだ。

 制度開始前は過去の医療事故のデータなどから少なくとも年間約1300件の報告があると見込まれていた。それが3割にも満たない状態で横ばいしている。

 調査すべきかどうかを調査・支援センターに相談し、報告を推奨すると助言された医療機関の中でも3割が報告をしていない。

 予期せぬ死亡かどうかの判断は医療機関に任されている。専門家によると、報告の対象であっても院内調査や遺族への説明を省くため、報告しないケースが少なくないという。

 家族を亡くした遺族がその理由を知りたいのは当然だ。調査すべきケースで調査をしないと患者側の医療不信を生む。それでは医療訴訟となるケースを少なくするという制度の狙いにも反する。

 国は、事故に学んで医療の質を高めるという制度の趣旨を医療機関に改めて周知し、報告を促す努力をしなければならない。

 患者団体には制度の存在を知らなかったという市民の声が寄せられている。医療機関などを通じ、患者や家族への啓発活動にも力を入れるべきだ。

 報告を分析した結果、調査・支援センターは入院中の転倒や転落、気管切開のトラブルなどについてこれまでに11件の再発防止の提言をした。医療の質の向上につながり始めている。

 5年の貴重な経験を踏まえ、制度を生かす工夫が今こそ求められている。

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