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社説

ドコモ完全子会社化 利用者本位で改革推進を

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 日本の通信産業の転換点となる可能性がある。NTTが4・2兆円超を投じてNTTドコモを完全子会社化することを決めた。

 NTTは次世代通信規格「5G」分野で米中勢に出遅れた。ネットサービスでもグーグルなど「GAFA」と呼ばれる米巨大IT(情報技術)企業に圧倒され、国際競争力の低下が深刻化している。

 ビジネスや暮らしに必須となったスマートフォン事業を手掛けるドコモを取り込むことで巻き返しを目指すという。利用者本位のサービスを提供する会社にドコモを改革できるかがカギとなる。

 ドコモは1992年に政府の方針でNTT本体から携帯電話事業を分離して誕生した。NTTが固定電話だけでなく、携帯でもガリバー企業になることを防ぐ狙いだった。90年代後半以降、通信市場の主役は携帯に代わり、ドコモは急成長した。

 しかし、スマホ時代になると、米アップル製iPhone(アイフォーン)端末導入で先行したソフトバンクやKDDI(au)に顧客を奪われた。約6割だったシェアは37%に低下し、営業利益は大手3社で最下位に落ち込んだ。

 NTTはかねてドコモの吸収を検討してきた。ただ、国が3割超を出資するNTTには、かつての分割政策の呪縛があり、時期を慎重に探ってきた。

 今回吸収に踏み切った背景には、企業の国際競争力向上を目指す菅義偉政権と思惑が一致した事情がある。資本や人材が豊富なNTTは「日本のIT復権のけん引役」になることを期待されている。総務省も容認姿勢を示している。

 ドコモが経営体力を強めれば、携帯料金の値下げを進められるようになるとの期待もあった。値下げは官房長官時代からの菅氏の看板政策だ。だが、端末代と通信料のセット割引禁止などの措置を講じても奏功せず、手詰まりとなっていた。

 NTTの澤田純社長が値下げ方針を明言したことは、菅政権にとって「渡りに船」だろう。

 ただ、NTTを過度に優遇するようなことになり、通信行政がゆがめられてはならない。政府は、NTTから通信網を借りる格安スマホ事業者も含め、公正な競争環境の確保に努めるべきだ。

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