「『頑張りすぎないでいいよ』と言ってあげれば」 過労で寝たきりになった教諭の妻の願い

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ハンカチを握り締め、倒れるまでの男性の仕事ぶりや現在の病状について語る妻=熊本市中央区の熊本県庁で2020年10月1日午前11時56分、栗栖由喜撮影
ハンカチを握り締め、倒れるまでの男性の仕事ぶりや現在の病状について語る妻=熊本市中央区の熊本県庁で2020年10月1日午前11時56分、栗栖由喜撮影

 熊本県天草市立小の教諭だった男性(53)が2011年12月、長時間労働の末に脳出血で倒れ、寝たきりになった。男性が公務災害と認めるよう求めた訴訟で、福岡高裁は9月、男性の訴えを退けた1審判決を取り消し、公務災害と認める判決を言い渡した。男性を付きっ切りで介護してきた妻(53)に話を聞いた。

 「ごめん」。男性が倒れてから数日後に意識が戻った時、何とか握ったペンで書いたのは家族への謝罪の言葉だった。

 男性は当時44歳。全身がまひし、身体障害者手帳1級の障害が残った。動くのは首が少しと右手の指2本、顔の左半分だけ。両側の聴覚と右目の視覚を失い、皮膚の感覚もなくなった。嚥下(えんげ)機能もなくなり胃ろうで栄養を取り、言葉を発することもできなくなった。体温調節も難しくたびたび高熱を出し、誤嚥で肺炎も起きる。

 男性が勤務していた小学校は学力向上の「モデル校」や「研究推進校」に指定され、男性は倒れる前年の10年4月から校内研修の企画や資料作成などで中心的な役割を担う研究主任を務めていた。妻の目から見た男性は真面目で、いつも同僚や子どものことを考えながら仕事をしていた。研究主任を務めることになった頃、男性は妻に「他に引き受ける人がいなかったので、仕方なく引き受けた」と話していた。

 普段の授業準備などに加えて研究主任…

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