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「食べてくれた!」耕作放棄地→サトウキビ畑 大分の農家がゾウの餌を栽培

サトウキビを食べるアジアゾウ=大分県宇佐市安心院町南畑のアフリカンサファリで2020年9月4日午前10時15分、津島史人撮影

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 大分県宇佐市の九州自然動物公園「アフリカンサファリ」と県内の若手農家が、耕作放棄地でサトウキビを栽培して園のアジアゾウの餌にするプロジェクトに取り組んでいる。耕作放棄地の有効活用と、餌のコスト削減という「一石二鳥」の試み。今後は栽培面積を広げ、サトウキビの供給拠点にすることも目指す。

 9月4日、アフリカンサファリのアジアゾウゾーン。試験栽培されたサトウキビ約20キロが運び込まれると、5頭のゾウが鼻を使って次々と口に入れた。パキパキと折れるサトウキビの音と食欲旺盛なゾウの姿に、生産者の同県別府市の恒松敬章さん(32)は「食べてくれた」と感激した様子。獣医師の神田岳委(いわい)園長も笑顔を見せた。

 神田園長によると、サトウキビはゾウの好物で、飼育が盛んなタイなどでは主食にしている。食物繊維が豊富で体調管理にも適しているため、普段は牧草を与えている園も「もっと食べさせたい」と考えていた。ただ、県内で栽培されていたのは半世紀以上前のことで、頼りは国内生産のほぼ100%を占める鹿児島、沖縄産。空輸のコストがかさむだけでなく、焼酎などへの加工が優先されて安定確保が難しいこともあり、「おやつ程度」の量を不定期に与えていたという。

 「大分でサトウキビを育てる農家はいないか」。園の相談を九州農政局大分県拠点(大分市)を通じて知り、協力を申し出たのが耕作放棄地の再生を模索する恒松さんだった。同じ30代の農家2人と「別府・日出さとうきび研究会」を作り、自身が所有する畑や地域の耕作放棄地計460平方メートルで2020年から試験栽培を始めた。

サトウキビを収穫する恒松敬章さん=大分県別府市内竈で2020年9月4日午前9時6分、津島史人撮影

 南国産のイメージが強いサトウキビに、恒松さんは「育つか最初は不安だった」というが、地中の温度が下がらないようシートで土を覆うなど工夫した結果、思った以上に順調に育った。園も苗の購入費用を負担したり、動物のふんを堆肥(たいひ)として無償提供したりとバックアップ。20年は約2トンの収穫を見込む。

 園によると、購入費用は鹿児島産などと比べて半分以下で、神田園長は「何より、新鮮な餌をゾウに提供できる」と歓迎する。刈り取ったサトウキビは全て園が買い取るため、恒松さんたち農家も、確実な収入源として耕作放棄地を活用し、農地の保全につなげられるという。生産が安定すれば大分県外の動物園などの需要にも応えたいといい、恒松さんは「大事に育てて、来年以降はもっと作付面積を広げていきたい」と語った。【津島史人】

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