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大岡信と戦後日本

/29 『へるめす』の周辺 「社会的なものを扱う」方法

 「折々のうた」が定評を得たことは、文芸界、文化界における大岡信の存在感を変えた。1980年代以降、彼は現代日本を代表する文化人の一人と見なされるようになっていく。国語教科書に詩やエッセーが定番のように掲載され、全国各地から講演や校歌作詞の依頼が相次ぐ。海外に招かれる機会も増えた。

 多忙な中で「折々のうた」の連載執筆を営々と続ける大岡の様子を、度々ともに海外へ出かけた詩人の谷川俊太郎さん(88)は目にしていた。「一緒にヨーロッパなどへ連詩を巻きに行った時、彼がホテルで朝、部屋から下りてきて、原稿をファクスで何枚も送っていた現場を僕は見ている。いかに大変な仕事かが身にしみて分かった。あれは画期的だった。世界的にも、一般の新聞の1面に毎日詩が載る例はなかったから、外国の人も驚いたようだ」

 この時期に大岡が関わった仕事で文化史的に重要なものに、季刊誌『へるめす』(89年の19号から隔月刊)の刊行がある。大岡と建築家の磯崎新(31年生まれ)、作家の大江健三郎(35年生まれ)、作曲家の武満徹(30~96年)、哲学者の中村雄二郎(25~2017年)、文化人類学者の山口昌男(31~13年)の6氏を編集同人に84年12月創刊。ジャンル横断的で都会的な新感覚の文化雑誌の出現は話題を集めた(97…

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