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社説

米政権中枢の集団感染 危機管理がずさん過ぎる

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 新型コロナウイルスに感染し、入院していたトランプ米大統領が退院した。「私はよみがえった」と早速アピールし、こう訴えた。

 「コロナを恐れるな。コロナに暮らしを支配されてはならない。我々は世界で最も偉大な国だ」

 信じがたい発言だ。米国の感染者は700万人を超え、死者は20万人に達する。重症者はなお多い。

 一時は体調が懸念されながら退院できたのは、大統領として最善の医療を受けることができたおかげでもあろう。「恐れるな」の一言で済ませるなら無責任に過ぎる。

 入院中に、警護官が同乗する専用車から集まった支持者に手を振る姿が見られた。選挙パフォーマンスで警護官の命を危険にさらした。非難されたのは当然だ。

 とりわけ深刻なのは、米政治の中枢であるホワイトハウスで集団感染が発生したことだ。

 9月末の連邦最高裁判事の指名行事が発端となった。大統領の顧問や報道官、複数の共和党上院議員らの感染が確認された。

 マスクをせずに隣り合って会話したり、抱き合ったりする光景が見られたという。トランプ氏もマスクを外して参加していた。

 こうした危機感の欠如は、科学者の助言を聞かず、感染リスクに無頓着なトランプ氏の姿勢と無縁ではないだろう。後の簡易検査で陽性反応が出たにもかかわらず、それを隠した疑いもあるという。

 大統領選の投票まで1カ月と迫る中での感染に、トランプ氏は焦りを覚えているようだ。15日に予定される第2回大統領選討論会にも出席する意欲を示している。

 体調がこのまま改善していけば、「コロナに打ち勝った」と訴え、支持拡大を図れると考えているのかもしれない。

 しかし、感染予防を軽視する従来通りの選挙活動を続けるなら、感染リスクは高まるだけだ。

 トランプ氏の体調はまだ万全ではない。主治医は「危機を完全に脱したわけではない」と警告する。体調が急激に悪化することがないとはいえない。

 そうなれば選挙は大混乱に陥るだろう。トランプ氏のまま戦うのかどうかを含めて、共和党は難しい選択を迫られる。

 政治の混迷を招かない危機管理が求められている。

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