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見つめ続ける・大震災10年へ

母のため、いつか家を 11歳になった佐々木蓮君 東日本大震災10年へ

家族で暮らす災害復興住宅の前で、弟の柊二ちゃんを追いかける佐々木蓮君(中央)。母晶子さんは昨年末に生まれた和椛ちゃんを抱き見守った=宮城県石巻市で2020年9月19日、梅村直承撮影

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 東日本大震災直後の宮城県石巻市。救援物資を求める列に並ぼうと、カゴを手に走っていた1歳10カ月の佐々木蓮(れん)君は今年、11歳になった。身長144センチ、54キロに成長した背中に、母晶子さん(31)は「本当に頼もしいです」と目を細める。弟柊二(とうじ)ちゃん(4)、妹和椛(わかば)ちゃん(10カ月)の世話をいつも手伝う蓮君の将来の夢は、災害復興住宅に暮らす母のために家を建てることだ。 

石巻市役所渡波支所で、朝1度だけ行われる配給の列に並ぶために走る佐々木蓮君(中央)と母の晶子さん(右)=2011年3月22日午前8時52分、梅村直承撮影

子守歌、今は妹のために 

 東日本大震災当時、宮城県石巻市渡波の実家で、まだ2歳にならなかった佐々木蓮(れん)君を女手ひとつで育てていた母晶子さん(31)は、「津波が来るぞ」と走りながら叫ぶ兄の声を聞いた。蓮君を抱きしめ2階へ急いだ。海水はギリギリの所まで迫ったが、間一髪で生き延びた。しかし蓮君はその後、なかなか眠れなくなった。被災した家の2階に親族8人で暮らす避難生活。母は毎日、子守歌を歌って過ごした。

自宅避難者が多い渡波地区の一角。蓮君(中央)の家族ら7世帯18人が、がれきの残る路上で作った朝食を食べていた=宮城県石巻市で2011年3月28日、梅村直承撮影

 「あの日、初めて救援物資をもらいに行ったんです」。震災から11日後、母子2人で配給の列へ向かうと、カゴを持った蓮君が走り出した。やっと家から出られてうれしかったのだろうか。駆ける姿を見て、晶子さんは自然と笑顔になった。

暮らしていた仮設住宅の玄関に座る蓮君。支援でもらったランドセルを手に「もうすぐ小学生だ」と笑った=宮城県石巻市で2016年3月8日、梅村直承撮影

 「覚えてないよ、その時のことなんて」と笑う蓮君(11)。今まで一番うれしかった出来事は、弟と妹が生まれたことだ。

昨年末に生まれた和椛(わかば)ちゃんを抱きしめる佐々木蓮君。「かわいいでしょう」=宮城県石巻市で2020年9月19日、梅村直承撮影

 2015年、晶子さんは仮設住宅に住み、震災後に支え合ってきた純さん(34)と結婚した。その年に柊二(とうじ)ちゃん(4)が、昨年12月には和椛(わかば)ちゃん(10カ月)が生まれた。「僕の腕で寝るんだよ」と妹にミルクを与え、寝かし付けもする蓮君。最も古い記憶が母の子守歌だという。

 母と父の愛に守られ、がれきの町で育った少年は今、妹のために子守歌を歌っている。【写真・文 梅村直承】

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