ノーベル化学賞のゲノム編集 何が画期的だったのか? 農業やがん治療の地平開く

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ノーベル化学賞受賞が決まった、エマニュエル・シャルパンティエ氏(左)とジェニファー・ダウドナ氏=東京都千代田区で2017年2月2日午後2時4分、根岸基弘撮影
ノーベル化学賞受賞が決まった、エマニュエル・シャルパンティエ氏(左)とジェニファー・ダウドナ氏=東京都千代田区で2017年2月2日午後2時4分、根岸基弘撮影

 スウェーデン王立科学アカデミーは7日、2020年のノーベル化学賞を、生物の遺伝子を効率よく改変できる技術「ゲノム編集」を開発したドイツ・マックスプランク感染生物学研究所のエマニュエル・シャルパンティエ所長(51)=フランス国籍=と米カリフォルニア大バークリー校のジェニファー・ダウドナ教授(56)に授与すると発表した。使い勝手がよく農業や医学など幅広い分野に普及している「クリスパー・キャス9」という手法を考案、実用化につながったことが評価された。【三股智子、信田真由美、荒木涼子、吉川雄策】

 ゲノム編集は、人工酵素を使い、遺伝子の特定の部位を切断して機能を失わせたり、外来の遺伝子を組み入れ新たな機能を持たせたりする技術。ウイルスなどを用いて偶然性に頼ってきた従来の遺伝子組み換えより高い精度で改変できる。

 「クリスパー・キャス9」は12年に発表されたゲノム編集の手法の一つで、人工のRNA(リボ核酸)を使って特定の部位に狙いを定め、酵素を送り込みDNA(デオキシリボ核酸)を切断する。狙いを定める物質にたんぱく質を用いていた従来の手法より扱いやすく、低コストで実験できる。翌13年にはヒトの細胞への応用にも成功した。

 同じ年には、多様な動植物の細胞のDNAや、受精卵にも応用できることが報告された。特別な技術を持たない研究者でも簡単に使えるツールもインターネットで購入できるようになり、世界的に普及した。また、生物学などでは遺伝子の機能を簡単に調べられるようになり、基礎研究の進展にもつながっている。

 この手法は、細菌の免疫機能を応用し…

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