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社説

日米豪印の外相会談 長期的な安定への土台に

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 日本、米国、オーストラリア、インドの外相が東京で会談した。4カ国が理念を共有する「自由で開かれたインド太平洋」構想を推進することで一致したという。

 この構想は、アジアからアフリカに至る太平洋とインド洋の広範な地域で、民主主義や法の支配などの普及を目指すものだ。

 安倍晋三前首相が4年前に提唱し、日本の構想をもとに米国が安全保障を中心とする独自の戦略を打ち出した。この旗の下に集まったのが4カ国だ。

 狙いは、台頭する中国とどう利害調整を図るかにある。力による威圧に対抗し、航行の自由や公正な貿易を実現することを目指す。

 中国は「対中包囲網」と反発する。日米との対立に加え、インドとは国境地域で衝突し、新型コロナウイルス感染経路の調査を求める豪州には報復関税を課した。それぞれ関係を悪化させている。

 南シナ海での行き過ぎた活動も続いている。中国の公船がベトナム漁船を沈没させ、フィリピンやインドネシアも反発している。

 中国が自重すべきなのは言うまでもない。だが、中国に対抗して緊張をあおるだけなら地域は不安定化し、繁栄にはつながらない。

 外相会談で際立ったのは、ポンペオ米国務長官の反中姿勢だ。包囲網構築の必要性を強調し、封じ込めの姿勢すらにじませた。これに対し豪印は中国批判を避け、「包摂的な枠組み」とくぎを刺した。

 米国が提案する地域安全保障の枠組みにつなげることにも温度差がある。豪州は同調するが、日印は消極的だ。国益は異なり、認識に違いがあるのは当然だろう。

 菅義偉首相は日米同盟を重視しつつ、中国との経済関係を強化する考えだ。そのために、この構想を戦略的に活用する意向という。

 国際的な批判が強まる中、中国は日本に関係改善を求めている。日本は課題を指摘しつつ、アジアのインフラ整備で協力する余地がある。米中を巻き込んでデジタル経済の国際ルール作りを主導することもできる。

 重要なのは、安定に向けた長期的視点を持つことだ。中国がルールに基づく国際秩序と調和を図るよう粘り強く促す。難しいかもしれないが、中国の対応が変われば構想の姿もまた変わるはずだ。

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