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学術会議任命拒否

日本学術会議が推薦した新会員候補6人を菅首相が任命しなかった。極めて異例の事態の背景や問題点を追います。

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「推薦を拒否しない」83年国会答弁との整合性問われる 参院内閣委詳報

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参院内閣委員会で日本学術会議の人事について立憲民主党の杉尾秀哉氏の質問に答えるため挙手する内閣府の大塚幸寛官房長(左)。右は内閣法制局の木村陽一第1部長=国会内で2020年10月8日午前10時43分、竹内幹撮影
参院内閣委員会で日本学術会議の人事について立憲民主党の杉尾秀哉氏の質問に答えるため挙手する内閣府の大塚幸寛官房長(左)。右は内閣法制局の木村陽一第1部長=国会内で2020年10月8日午前10時43分、竹内幹撮影

 「日本学術会議」が推薦した新会員6人を菅義偉首相が任命しなかった問題を巡り、8日の参院内閣委員会では「推薦していただいた者は拒否しない。形だけの任命をしていく」などとした1983年の国会答弁との整合性が問われた。詳報は以下の通り。【影山哲也、竹地広憲】

内閣法制局が2度訂正

 山谷えり子氏(自民) 衆議院の内閣委員会での内閣法制局の答弁の中で読み間違いがあったというふうに聞いております。事実関係についてご説明ください。

 内閣法制局・木村陽一第1部長 昨日の衆院内閣委員会の塩川鉄也委員の日本学術会議の会員の任命に関するご質問に対しまして、私が83年の日本学術会議法の改正に関する資料の内容について答弁をした際、資料のなかに推薦人の推薦に基づいて全員を任命することになっており、この任命は形式的任命であるという記述がございますと答弁しました。もっともここで「全員」と申し上げたのは「会員」を読み間違えたものであって、正しい資料の記述は、「推薦人の資料に基づいて会員を任命することになっており、この任命は形式的任命である」でございます。

 このような軽率なミスによって、塩川先生をはじめ山谷先生、さらには両院の内閣委員会の諸先生方に対して大変なご迷惑をおかけすることになり、この場を借りて深くおわびを申し上げる。大変申し訳ございません。

 山谷氏 あってはならないことであって、以後十分気をつけていただきたいと思います。

(略)

 法制局・木村部長 申し訳ございません。先ほど答弁申し上げた中で83年の日本学術会議法の改正に関する資料の正しい記述として、推薦人の「資料」に基づいて会員を任命することとなっておりと申しあげたようだ。正しくは推薦人の「推薦」に基づいて会員を任命することとなっておりです。度々の訂正となりまして、また貴重な審議時間を無駄にすることになってしまい、大変申し訳ございません。

 山谷氏 いや、お疲れかもしれませんけど、しっかりよろしくお願いします。

国会は滝川事件の過ちを懸念

 田村智子氏(共産) 形式的任命。83年、学者による選挙制度を廃止し、推薦に基づく総理の任命とするという改定法案の審議で、政府自身が繰り返した言葉だ。最初に「形式的任命」を使ったのは、公明党・国民会議の会派に属した高木健太郎議員。

 83年5月10日、参院文教委員会。「会員は総理の任命制によるということだが、学術会議から推薦してきた会員は、これを形式的任命である、そういう言葉は使えないにしても、最大限尊重して任命するということでなくてはいけない」と。著作発行禁止処分となり、文部大臣が学長に休職を要請し、教授会が反対したにもかかわらず、文部大臣の監督権を根拠に休職処分とされた滝川事件を引いて、そのような過ちを繰り返さないようにという質問だった。

 これに対して内閣官房総務審議官は、選挙の場合には立候補制で…

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