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学術会議任命拒否

日本学術会議が推薦した新会員候補6人を菅首相(当時)が任命しませんでした。異例の事態の背景や問題点を追います。

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「非情な政界の黒幕」 海外科学誌、主要紙が菅首相の学術会議任命拒否を批判

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菅義偉首相による日本学術会議の会員任命拒否問題に言及した英科学誌ネイチャーの社説。「政治の科学介入」に強く警鐘を鳴らしている
菅義偉首相による日本学術会議の会員任命拒否問題に言及した英科学誌ネイチャーの社説。「政治の科学介入」に強く警鐘を鳴らしている

 菅義偉首相が日本学術会議の一部新会員の任命を拒否した問題を、海外の科学誌や主要紙などが批判的に報じている。「学問の自由」の侵害として脅威視する見方が目立つ。世界各国で発生している事例の最新ケースとして注目を集め、日本の国内問題にとどまらなくなっているようだ。主要な報道を紹介する。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

英ネイチャー ブラジルやインドの例とともに紹介

 英科学誌ネイチャー(電子版)は6日付の「ネイチャー誌が政治を今まで以上に扱う必要がある理由」と題した社説で言及した。

 まず、トランプ米大統領による科学軽視などに触れ、世界の政治情勢に関する記事を増やす考えを表明。その上で、「脅威に直面する学術的自律」との小見出しが付いた一節の中で、学問の自由を保護するという原則を「政治家が押し返そうとしているとの兆候がある」と強い懸念を示した。この原則は「近代の科学の核を成すもので、数世紀にわたり存在してきた」ものだと強調した。

 そして、その維持には「研究者と政治家がお互いを尊重する信頼」が必要だが、この信頼が世界各地で「相当な圧力にさらされている」と続け、具体的な最新事例として紹介したのが菅首相による任命拒否だ。

 対象となった6人については「政府の学術政策に批判的だった」などと説明。日本学術会議の独立性や、任命拒否が現行制度になった2004年以降初めであることにも触れ、今回の措置の異例さを示唆している。

 他には、「ブラジルのトランプ」と言われるボルソナロ大統領が、ブラジルの森林が…

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【学術会議任命拒否】

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