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シネマの週末・この1本

異端の鳥 少年が巡る地獄の寓話

映画「異端の鳥」の一場面

 いたいけな少年を、どうしてこんなにいじめるのか。最初はそう思っても、物語が進むにつれて少年の顔つきが変わりすごみを帯びて、次第に引きずり込まれる。チェコのバーツラフ・マルホウル監督による、暴力と死の叙事詩にして白黒の静かな映像詩。生き残りと成長の物語は、過酷な世界の寓話(ぐうわ)でもある。

 時は第二次世界大戦中から戦後にかけたあたり、東欧らしいがどこかは分からない。言語は東欧系の人造語という。両親と離れ祖母に預けられた少年は、いじめっ子に捕まり、大事に抱えていた小動物を焼き殺されるところから、ひどい目に遭い続ける。祖母が突然死し失火で家ごと全焼、集落を追われ流浪の身に。疫病神扱いされ半殺しにされ、ユダヤ人だといって汚物の中に放り込まれる。ドイツ軍に殺されそうになり、ソ連軍に拾われてさらに流浪の旅が続く。その道程で出会う大人たちが、章立てとなる。

 少年は異物を排除する社会の不条理や頑迷さ、人間の悪意や欲望を目撃し、そのために何度も死にかける。初めはピアノを練習する無垢(むく)な良い子だったのに、汚れ傷つき、やがて通行人を襲い身ぐるみ剥ぐようになる。それは精神とモラルの荒廃だが、誰にも頼らず生き抜くたくましさの証しでもある。

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