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社説

高齢運転者の事故対策 安全への取り組み着実に

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 東京・池袋で昨春、乗用車が暴走して母子が死亡し、10人が負傷した事故の刑事裁判が始まった。

 運転していた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(89)は、ブレーキと間違えてアクセルを踏み続けたとして起訴された。初公判では「車の何らかの異常で暴走した」と否認した。

 遺族は、悲痛な思いを抱えながら、事故を防ぐ対策の強化を訴えてきた。今後の教訓とするためにも、原因の解明が求められる。

 事故をきっかけに今年、道路交通法が改正された。高齢者の運転免許について、新たな制度が始まることになった。

 再来年をめどに、75歳以上で重い違反歴がある人は、免許更新時に実車試験が義務づけられる。合格しないと更新が認められない。

 今年の上半期に、75歳以上の運転者による死亡事故は175件起きた。死亡事故全体が減少する中で昨年の同時期を上回っている。

 免許を持っている人数当たりで件数を見ると、75歳未満の2・3倍に上る。原因の4割を操作ミスが占めるのが特徴だ。

 心身の衰えを自覚できず、家族の忠告も聞かずに運転し、大事故を起こしたケースもある。

 こうした状況からすれば、免許に一定の制限を課すのはやむを得ないだろう。事故防止のため、実効性のある仕組みが欠かせない。

 新たな制度では、安全運転サポート車に限定した免許も導入される。運転できるのは、自動ブレーキや、ペダル踏み間違い時に急発進を防ぐ装置を搭載した車だ。

 これらを備えた車は普及しつつある。事故が4割減ったとのデータはあるが過信は禁物だ。高齢者の選択を広げるため、より精度の高い安全技術の開発が待たれる。

 昨年、免許証を自主返納した人は60万人を超え、前年より18万人近く増えた。各自治体は、公共交通や各種サービスの割引によって返納を呼びかけている。

 しかし、人口減に伴って公共交通は縮小し、地方を中心に車が生活の足になっている実態がある。

 高齢者が手軽に移動できなくなれば、社会とのつながりが薄れ、健康の悪化も懸念される。

 地域の実態に合わせながら、高齢者の移動手段を確保する取り組みも進めていく必要がある。

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