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私が事務所を独立したわけは… 「35歳の少女」で心は10歳の難役を演じる柴咲コウさん

日本テレビ系ドラマ「35歳の少女」に主演する女優の柴咲コウさん=東京都江東区で2020年8月27日、西夏生撮影

 1999年に出演したCMで注目されて以来、女優として、歌手として常に第一線で活躍してきた柴咲コウさん(39)。デビュー以来所属していた大手芸能事務所を今春、退所。アパレル事業などのため2016年に設立し、自身が社長を務める個人事務所に移籍した。独立後も、NHK連続テレビ小説「エール」で世界的に有名なオペラ歌手、双浦環(ふたうら・たまき)を演じたほか、8月の誕生日には京都で無観客ライブを開き生配信するなど、精力的に活動する。10月10日から始まる日本テレビ系連続ドラマ「35歳の少女」(土曜午後10時)は移籍後初の連ドラ主演作になる。新たなスタートを切った柴咲さんに、「35歳の少女」や今後の活動について聞いた。【佐々本浩材】

5年半ぶりに遊川和彦さんのドラマで主演

 「35歳の少女」は、「女王の教室」「家政婦のミタ」「過保護のカホコ」(いずれも日テレ系)など数々のヒットドラマを生んできた遊川和彦さんのオリジナル脚本。柴咲さんは連ドラ「○○妻」(日テレ系)から5年半ぶりに遊川さんと再びタッグを組む。スタッフも前作に引き続き、顔なじみのメンバーがそろった。

 「○○妻」は、民放の連ドラでは非常に珍しい、放送前に全て撮り切ったドラマだった。「私はそうした作品に出たことがなかったので新鮮だった」と振り返る。

 「このドラマに限らず、遊川さんは世の中と自分のバランスのようなものを描くのがすごく上手な方だなと思っていて、『○○妻』も、そういう思いのはざまにいて、自分の中で葛藤している役だった。演じていてすごく考えさせられた」

社会への“怒り”がうまく落とし込まれていた「○○妻」

 「○○妻」で演じたのは東山紀之さん演じるニュースキャスター、久保田正純の「妻」井納ひかり役。一見、誰もが認める理想的な夫婦だったが、実はひかりは婚姻届を出すことを拒み、3年ごとに正純との間で契約書を交わしている「契約妻」だった。契約から6年が過ぎ、本当の夫婦になりたいと願う正純は契約更新を拒否。正式な夫婦になろうとプロポーズするが、ひかりは即座に断り、家を出ていく。正純には理由が全くわからない。なぜ、ひかりは結婚を拒み続けるのか。それは若い時に自分の子を育児放棄で死なせた過去があったからということがドラマの後半、明らかになる。自身の過去が、正純の仕事に影響することをひかりは恐れていた。だが、その過去が世間に知られ、2人は激しい非難を浴びる。仕事を取るか? ひかりを取るか? 苦悩する正純とひかりの姿が描かれた。

 「遊川さんは、いろいろな個人がいるはずなのに、それを認め合わない社会に怒りにも似た思いがすごくある方。それが作品にうまく落とし込まれていて、面白いなあと思っていました」

 「弱者の生きづらさ、非難される苦しさを、演じていて突きつけられ、うまく消化できないなと感じるところもあった。でも生きていると、良くも悪くもそういうことって多いじゃないですか。そんなに滑らかにみんな生きられるわけじゃないから。そういうところが(遊川作品の)共感できるところなのかも」

 ある極端な設定の中で格闘する人々を通して、今の社会の現実をあぶり出す遊川作品。ヒロインの発言や行動で抱える問題がさらけ出され、周囲の人々が少しずつ変わっていく。分厚い壁にぶち当たるたび、ヒロインは感情を爆発させるような場面が多い。「○○妻」のひかりも、ためこんでいた思いを正純にぶつけたシーンが印象に残る。「(遊川さんの作品の芝居は)しんどい時もありますよね。お芝居するって、エネルギーの放出だったりするので、ここぞとばかりにやるだけです」と笑う。

今回のテーマは「もっとしっかり生きようや」

 今回の「35歳の少女」は、10歳の時に事故で昏睡(こんすい)状態となったが、25年ぶりに突然目覚める時岡望美役。心は10歳、体は35歳という自分を受け入れられない上、周囲の世界は自分がかつて「21世紀はきっと戦争も差別もなくなり、世界中がうちの家族みたいに笑顔で暮らしている」などと思い描いた未来とは全く違っていて戸惑う。25年のギャップを埋めるかのように、望美の「生き直し」が始まる。

 「今回のテーマは『もっとしっかり生きようや』だと思うんです。普通に生きていると、息をして、ご飯を食べるということが当たり前じゃんとなってくるんだけど、ドラマのような不慮の事故だったり、何か不幸が襲いかかったりした時に、いかに自分が恵まれていたのかと思い知ることってありますよね。骨折したとか、病気をしたとか。でも、それを人は忘れがちで、また日常に戻ると自分に責任を持って生きられない。何かや誰かのせいにして、不平不満ばかりを言って、生きていきがち。自分の人生の主役は、他でもない自分なんだから、自分が何を選択したいのか、自分が決めましょう。そういう思いがめちゃくちゃ込められている作品になると思うんです。今回の主人公の望美を通じて、ちょっとそうしたことを気付かされる、そんな内容になっている気がします」

 そんなふうに、ドラマの内容を一気に説明すると、最後に「どういう結末を迎えるかは分からないけれど……」と少し照れたように笑って付け足すのが柴咲さんらしい。

 「○○妻」では、思い悩むひかりが口ずさむ童謡「森のくまさん」が効果的に使われた。ひかりは夫の正純がニ…

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佐々本浩材

1990年入社。大阪学芸部、メディア情報部などを経て、東京学芸部へ。演芸、放送分野を長く取材。

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