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社説

WFPに平和賞 コロナ下の国際連帯に光

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 今年のノーベル平和賞が、食料支援活動をする国連世界食糧計画(WFP)に授与されることになった。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、世界の飢餓防止に人道的観点から取り組む姿勢が評価された。

 WFPは1961年、国連総会と食糧農業機関の決議によって創設された。災害や戦争などで飢餓に苦しむ国への食料支援を目的ととした組織としては世界最大だ。

 今回の授賞理由の説明では、食料が地域安定に不可欠なことが強調されている。最近では、紛争地域で相手方の食料を不足させ、飢餓を「武器」として使用するケースがある。WFPは支援を通じて紛争地域の平和に貢献し、飢餓の政治利用を防止する活動にも寄与してきた。

 2019年はアジア、アフリカ、中南米など飢えに苦しむ88カ国で約1億人に食料を供給している。19年時点で飢餓に苦しむ人は世界で1億3500万人と、近年では最悪の状況になっている。

 長引く内戦などで食料が不足しているためだ。特に中東のイエメンやアフリカの南スーダンやコンゴ民主共和国は厳しい状況だ。

 さらに今年は新型コロナウイルスの感染拡大で人やモノの動きが止まり、食料事情が悪化している。20年には飢餓の人々は2億6500万人に急増しそうだ。

 WFPのビーズリー事務局長は、「コロナとの闘いの最前線は豊かな国から貧しい国に移りつつある」と語った。食料不足が社会的混乱を拡大させ、紛争がさらに深刻化して、飢餓の地域を広げるという悪循環を招くことに警鐘を鳴らしている。 

 WFPの呼び掛けにもかかわらず、国際社会の支援の動きは鈍い。米国のトランプ政権が自国第一主義を掲げ、国際協調に背を向ける指導者が増えていることも一因だろう。

 今回の授与は、そうした状況を危惧し、国際機関が果たす役割や国際連帯に光を当てるものだ。

 食料危機は地域の安定や住民の安全に直結する問題で、どの国も一国では解決できない。コロナの影響が長引けば、世界の飢えは拡大する。紛争の芽を摘むためにも各国は国際協調の重要性を再確認する機会にすべきだろう。

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