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松原隆一郎・評 『アメリカの世紀と日本』=ケネス・B・パイル著、山岡由美・訳

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『アメリカの世紀と日本 黒船から安倍政権まで』
『アメリカの世紀と日本 黒船から安倍政権まで』

 (みすず書房・5280円)

直視すべき悲痛な二国関係史

 アジア太平洋戦争が終結した1945年には世界の約半分を占めていたアメリカの経済規模(GDP)が、2018年には25%に後退した。黄昏(たそがれ)を感じさせる数字だが、本書はこの期間を「米国による日本支配という異常な時代」と断言する。

 著者は日本で受勲もした研究者。本書はワシントン大学で長年受け持った「戦後日本の浮上」という講座を踏まえ、ローズベルトが立てた異様な方針に端を発する日米の悲劇的なすれ違いを詳細に描きだしている。

 アメリカにおいてはニクソンが大統領であった1970年前後から、同盟国である日本への不満が募り始めた。自衛隊は海外で活動しない、核兵器を持たない、年間防衛費はGNPの1%を超過しない等々の「九つの<ない(ノー)>」を金科玉条とし、対米輸出をテコに経済成長、それでいて自国市場は閉じている。ただ乗りではないか、というわけだ。以降現在に至るまで、日米間では「貿易差額」と「国力に見合った責任」をめぐり摩擦…

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